【社告】好評発売御礼

初の教員出身会長、「荒瀬中教審」は何をする?
そのヒントもココに!

本社代表社員・渡辺敦司、初の単著

『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』

(ジダイ社)、2022.10・22より発売中。¥1870(税込み)。

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 分類されていることがほとんでですので、ご留意ください。

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2023年3月21日 (火)

処遇改善より定数改善を優先すべきだ

 自民党の特命委員会が、公立学校教員の処遇改善を検討している。教員不足や採用試験倍率低下の問題が、給特法(教職給与特別法)に特化されているかのような情勢だ。

 文部科学省の検討会も昨年末に発足しているが、明らかに与党の様子見で会合をころがしている状態にとどまっている。2022年度の教員勤務実態調査の速報値公表が5月にずれ込むというのも、単なる事務作業の遅れなのかといぶかしんでしまう。

 処遇改善を否定するわけではない。本来1兆円にも値するタダ働きをさせている状況は、いかにも違法状態である。ただ財源に限りがある中では、中途半端になりはしまいか

 特命委では、業務や能力に応じた待遇という話も出ている。思い起こされるのが、東京都教委の成績率導入だ。それによって教員の士気が上がったと言えるだろうか。そもそも副校長どころか主幹教委のなり手も少なくなっているのは、どういいうわけか。そもそも今どき給与が高いから教員を選んでいるという人が、どれほどいるだろう。

 給特法を廃止すべきだという声も強まっている。一般論として、残業抑制の効果を期待するのは分からないでもない。しかし、これからは教育の質をますます上げなければならない時代である。今こそ教員の自発性、創造性発揮が期待される時はなかろう。

 もちろん、部活動指導をはじめとして半ば職務命令になっている違法状態は一刻も早く解消されなければならない。だからといって現実的な改革が難しいのも、部活の地域移行を見れば明らかだ。

 防衛費はもとより福祉や子ども予算をめぐる政府・与党の財源論が迷走する中で、大胆な教育支出の拡充も期待できまい。一方で、定額働かせ放題で多忙化している教員の問題が社会的にも注目を集めている状況は好機だ。

 そうした中で財源を有効に活用するためには、何よりも定数改善を優先すべきではないか。人が増えれば、それだけ負担も軽減されるのは明らかだ。というより20年も定数改善を放置してきたことが、現下の過酷な勤務実態を生んできた最大の要因ではなかったか。

 具体的に定数の何を改善すべきか、さらには養成・採用の問題をどうするかは別に論じたい。まずは与党や世間の関心が給特法の在り方に集中しつつある中、改革論議が的外れな方向に流れないよう強く訴える。

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 【自社広】
 この本でCSTI政策パッケージと中教審特別部会のナゾがすべて分かる!
 『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―
 (ジダイ社、¥1870)、まさかの重版決定で好評発売中。

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2023年3月16日 (木)

【内側追抜】質問拒否

(…前々首相が生きていらしたら、行政文書なんかすぐ圧力をかけて改ざんしてくれたのに。…いえ、前々首相がわたくしの地元で撃たれたのも、すべてはわたくしを排除するための陰謀だったんだわ!)

   ――某大臣

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2023年3月15日 (水)

【内側追抜】前々首相ブレーンの反省

「教科書に書いてることしかアドバイスできないよね」

   ――某名誉教授

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2023年2月 9日 (木)

次期指導要領 「学習内容の重点化」に今から知恵結集を

 中央教育審議会の初等中等教育分科会「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」(学校教育特別部会)義務教育の在り方ワーキンググループ(WG)の第5回会合が1日に開催され、論点整理素案を大筋で了承した。高校WGも含めた20日の特別部会合同で固める見通しである。

 横断的な改革を守備範囲とする親特別部会はもとより、次期学習指導要領をめぐっては中教審と別に「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」も昨年末に発足している。そうした諸会議体の中でも、義務WGが司令塔役を果たすことが明らかになった感がある。

 ここでは論点整理素案に「学校での学びの先にある社会を意識した授業改善、学習内容の重点化」として「ICTを最大限活用した授業実践、教科書・教材、授業時数等を含めた教育課程、教員研修の在り方を一体的に検討すること」が盛り込まれたことに注目したい。

 そもそも学校教育特別部会は、内閣府「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI)教育・人材育成WG中間まとめの提起を受けて2022年1月に発足した。そのCSTI「政策パッケージ」(同年6月決定)では、「教科等の本質を踏まえた教育内容の重点化や教育課程編成の弾力化」が提案されている。今回の義務WG論点整理素案は、それに対する応答の第一歩だ。

 政策パッケージ岸田文雄首相を議長とする政府重要会議での決定とはいえ、あくまで「内閣府」の話である。今般、中教審の部会内に掛けられた意義は強調してもし過ぎることはない。

 時代の進展に応じて学校教育で扱う内容が増えすぎるカリキュラム・オーバーロード(過積載)は、世界的な課題となっている。ましてや現行指導要領では資質・能力(コンピテンシー)を重視する一方で、学習内容(コンテンツ)の削減は行わずに増やす結果となった。これも教師の多忙化に拍車を掛けていることは否定できまい。

 前回は中途半端に終わったコンピテンシー・ベースの教育課程改革を、次期こそ完遂しなければならない――。本社が昨年10月『学習指導要領「次期改訂」をどうする―検証 教育課程改革―』(ジダイ社)を世に問うたのも、その思いからだった。

 同書でも指摘した通り次期改訂に向けて今からコンテンツの再考とコンピテンシーの本格整理に、学校現場はもとより教育関係諸団体、教育関連学会を挙げて「熟議」を行うべきだ。あえて熟議という言葉を使ったのは、それぞれが改訂後も責任を持った主体となり続けるためである。そうしなければ今回も「上から降って来る」教育改革から脱却できず「やらされ感」が募るばかりか、コンピテンシー育成も不十分なものになりかねない。

 CSTI政策パッケージでは、次期改訂見込みが2027年とされている。乗り越えるべき課題が山積する中、実質あと4年という期間は決して長くはない。各方面で早急に取り組みを始め、糾合への準備も進めるべきだ。教育界の英知を集めた改革としたい。

 

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2023年1月24日 (火)

【内側追抜】ナントカ倍増

安全保障とは、取りも直さず安全・安心な国土を次世代に引き継ぐことですから、んー、防衛費は子ども子育て予算に再掲しても、一向に構わないと考えるのであります。

   ――某首相

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2023年1月 9日 (月)

「大改革」議論の初年に① 深刻な現場の文科行政不信

 本社配信記事「『教員給与見直し』は本当にできるか? 現場は精神疾患での休職、過去最多の危機」が6日朝、ウェブメディア「オトナンサー」にアップされた。同時転載のYahoo!ニュースには、休日に入った7日までに500件を超えるコメントが付いた。

 何も反響があったことを誇りたいわけではない。そもそもコメントは記事内容に直接関係があるとは限らず、見出しやテーマ自体に対するつぶやきも多い。読んでいて改めて思うのは、既に論じた通り学校現場にある根強い文部科学行政不信である。

 もちろん政治や財務当局との関係をきちんと押さえた上での書き込みもあるが、「文科省は何もする気がない」との見方が絶えないのはニュース解説者としての力不足を痛感せざるを得ない。本社は会社員時代に旧文部省担当が長かったため文科官僚に同情しがちな傾向は否定しないが、彼ら彼女らは自分たちなりに教育現場を思いやりつつ霞が関・永田町や世論にも最大限配慮しながら難しいかじ取りを余儀なくされているのも事実だ。その結果としての教育行政に限界があることは、必ずしも彼ら彼女らの無責任体質によるものとは限らない。

 とりわけ気になるのは、「授業だけさせてほしい。しつけは家庭でやれ」という類いのものだ。もちろんネットニュースの短いコメントには激情型が少なくなく、字面をそのまま受け止めるには慎重さが必要だろう。しかし教員は「勉強」(知識)だけ教え、生活指導その他は家庭の責任だと考える風潮が強まっているとすれば憂慮せざるを得ない。

 言うまでもなく教育は「人格の完成」(教育基本法1条)を目指す営みである。現行学習指導要領に沿って言えば、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」(同)を育成するために資質・能力の伸長を図ることが求められている。テストの成績や進学実績に重きを置くような近視眼的学校教育観が通用しないことは、もちろんだ。

 ただ、そんな極論が並んでしまうほど現場に不満がたまっている事実は決して無視すべきではない。教育関係団体を通した意見書には良識を持ったお行儀の良い要望が並ぶが、そこに必ずしも教育界の「本音」はない。むしろ勤務実態や「働き方改革」に対する爆発寸前の不満が、コメント欄に噴出しているとみるべきだろう。

 このような状況では、どんな改革案を提示しようと現場は反発や懐疑の姿勢を示しかねない。現場の士気を低下させないような慎重さがなければ、かえって逆効果を招きかねない。

 現下の困難な状況にあっては、教育界の総力を挙げて改革案を熟議することが不可欠になろう。他省庁はもとより国民世論を動かそうとするなら、なおさらだ。本来は教職員組合にも奮起してもらいたいところだが、現実としては期待できない。

 個々の教員も、ネット上の激情でガス抜きして済ませている場合ではない。いま積極的に形になる声を上げなければ、かえって改革案が悪くなることは必定だ。

 本社が昨年、拙著『学習指導要領「次期改訂」をどうする―検証 教育課程改革―』(ジダイ社)を世に問うたのも、まずは行政担当者の意図や研究者が考える教育課程の課題を正確に伝えた上で、それを基に教育界全体で次期指導要領の在り方を主体的に考えてもらいたかったからだ。今や教職の自主性・自発性・創造性は、教員の内外ともに危機にある。だから教員自身が今こそエージェンシー(変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力)を発揮しなければ教育の未来が危うくなるだけでなく、自分の身さえ守れなくなるだろう。

 今後シリーズで「大改革」の課題を論じていきます。ご期待ください。

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 【自社広】
 文科省が年末に相次いで発足させた
 「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」(12月20日)、
 「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」(同22日)は何を狙っている?
 答えはココに!

 『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―
 (ジダイ社、¥1870)、まさかの重版決定で好評発売中。

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2023年1月 1日 (日)

【社告】新年ごあいさつ

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 

 文科省が相次いで発足させる
 「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」(20日)、
 「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」(22日)
 は何のため? 何を狙っている? 答えはココに!

 本社代表社員・渡辺敦司、初の単著

 『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』

 (ジダイ社)、2022.10・22より発売中。¥1870(税込み)。

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 年末最終順位(大晦日23時台):
 - 1,234位本 
 - 7位教科教育
 - 18位その他の語学・教育関連書籍
 - 61位教育学一般関連書籍


大改革始まりの年、本年も本社をよろしくお願い申し上げます。

   「教育ジャーナリスト渡辺敦司の一人社説」
             代表社員 渡辺敦司

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2022年12月31日 (土)

【内側追抜】某大納会で

某脚本家「鎌倉時代は現代と近く一寸先は闇」

某首相「来年は北条義時のごとく闇落ちする決意です」

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2022年12月24日 (土)

教育課程検討会 「大教育改革」に向け現場から声を

 文部科学省が「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」を設置し、22日に初会合を開催した。いよいよ学習指導要領の「次期改訂」に向けた議論が始まる。もっとも会合では、次期改訂のジの字も出なかった。だから日刊紙の報道は一切なかったし、事情が分かっているはずの専門紙も淡々と伝えただけだった。

 既視感を抱くのは、2012年12月の政権交代前夜に設置された「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」(座長=安彦忠彦・名古屋大学名誉教授)だ。当時は本社以外に記事化するところが一切なかったが、現行指導要領が実質的にコンピテンシー(資質・能力)ベースへとかじを切る学問的根拠を固めた「安彦検討会」の意義は強調してもし過ぎることはない。もっとも2年後の中央教育審議会への改訂諮問ではアクティブ・ラーニング(AL、当時は「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」)ばかりが注目され、なかなか「学力」観の転換に気付く人は少なかった。

 今回の検討会は安彦検討会でも委員を務めた天笠茂・千葉大学名誉教授が最初から座長に指名されていたから「天笠検討会」と呼ぶべきだが、本社では座長代理の一人で「令和の日本型教育」答申関係でも教育課程論議をリードしてきた奈須正裕・上智大学教授の名も冠して「天笠・奈須検討会」と呼びたい。

 象徴的なのが、天笠・奈須検討会の2日前に発足した「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」だ。一見すると「魅力向上」が主眼のようにも見えるが、実際には給特法(教職給与特別法)の見直しを含めた「質の高い教師の確保」策の検討を目的としている。

 これらは決して、バラバラな課題への対応ではない。両者をつなぐのが、10月に義務教育・高校教育の二つのワーキンググループ(WG)設置を決めた中教審初等中等教育分科会「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」(学校教育特別部会)である。

 同部会は、政府重要会議の一つである内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)に設置された「教育・人材育成WG」の中間まとめ(21年12月)に対する応答として、1月に設置が決まった。「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」は6月のCSTI本会議で決定されているから、27年見込みとされる次期改訂が政府方針になったことを意味しよう。

 政策パッケージでは次期改訂も教員勤務の見直しも、学校教育特別部会の検討事項とされていた。初等中等教育局長の私的懇談会形式を挟んだとはいえ、いずれは中教審マターとなるべき課題である。

 内閣府審議官としてCSTIのWGを仕掛けたのは、2度の指導要領改訂に携わった合田哲雄・現文化庁次長である。財務課長として教職員定数や「学校の働き方改革」を手掛けた身として、トータルな政策展開なしには山積する課題を打開できないと痛感したようだ。西山圭太・元経済産業省商務情報政策局長の「DX(デジタルトランスフォーメーション、デジタルによる変革)の思考法」に心酔するのも、そのためだろう。

 だからこそ審議の舞台が文科省=中教審に戻った今こそ、教育現場から声を上げなければいけない。そうでなければ、政界や国民世論の顔色をうかがいながらの政策決定を余儀なくされている文科官僚による中途半端な改革にとどまらざるを得ない恐れさえある。

 典型的なのが、同じ週の19日に答申された「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~『新たな教師の学びの姿』の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~」だ。教員免許更新制の廃止は結構だが、それに代わる研修履歴記録システムと教員研修プラットフォームによる受講奨励は下手をすると働き方改革に逆行しかねない。

 不登校や発達障害・特異な才能、外国ルーツの子どもなどの多様性・包摂性に対応するためにも、また1000兆円もの国の借金を背負わせてしまった次世代を担う子どもたちに課題発見・解決能力を身に付けてもらうためにも、教育課程改革を含めた教育大改革は進めなければならない。ただし、それも学校や教員の持続可能性あっての話である。「日本型教師」に信頼を置いた改革を願ったからこそ、本社は10月にジダイ社から『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』を刊行した。今後も現場へのエールを込めつつ、配信記事で中教審などの動向を報じていきたい。

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 【自社広】
 この本でCSTI政策パッケージと中教審特別部会のナゾがすべて分かる!
 合田・奈須両氏へのロングインタビューも掲載した
 『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―
 (ジダイ社、¥1870)、まさかの重版決定で好評発売中。

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