【コラム 池上鐘音】半年分の針
▼折衝過程をいちいち論じてもせんないことだが、むなしさは募る。文部科学省が23日にまとめた教育振興基本計画案に、5年間で2万5千人の教職員増を盛り込んだことだ。もしこれが通れば学校現場にとっては結構なことに違いはないが、要するに時計の針を半年戻しただけに過ぎない。しかも現状では同省案通りに策定される見通しが立たないとあっては、繰り返すようだが旧教育基本法と引き換えに得た振興計画とはいったい何だったのか▼半年というのは、昨年末の予算編成直前のことである。2008年度概算で文科省は、2009年までの3年間で2万1千人余りを増員する強気の教職員定数改善を要求した。その時点でも財政当局から「何を考えているのか」と相手にされず、結局は主幹教諭を中心に単年度で約1200人しか認められなかったのは、周知の通りだ▼2年前にすら時計の針が戻せなかった、と言ったら酷であろうか。2006年度概算では、「第8次」と銘打った定数改善計画(2010年度までの5年間で1万5千人増)を要求していた。もちろんその前年度に第7次計画(2001~2005年度で2万6900人増)が完了していたから、当時とすれば次期計画の策定要求は当然、という雰囲気があったのも確かだ。それにしても、今後5~10年を展望する基本計画の中に改善計画が打ち出せないというのは、純減を定めた行政改革推進法があるとはいえ、いかにも不備と言わざるを得ない▼もちろん、学校現場のためには多少なりとも定数改善が勝ち取れるに越したことはない。それほど教員は疲弊している。しかし焼け石に水の増員では、学校教育の困難さを根本的に解決するものにはならない。かえって「成果」を求める財政当局サイドの批判に根拠を与えることにすらなりかねない、というのは言い過ぎだろうか。
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