教科書ページ倍増 福田政権の本気度が試される
政府の教育再生懇談会は28日の会合で、国語や理科、英語の教科書のページを2倍増にするなど質・量を充実させることで合意した。提言自体は誠に結構で、文句のつけようがない。しかし、実際にはそう簡単にできることでもない。実現するかどうかは、福田政権が本気で教育を重視しているかどうかの試金石となりそうだ。
教科書の厚さについては、これまでの学習指導要領改訂で一律にページ削減が求められたり、逆に補充・発展学習で一定のページ増が認められたりと、何かと世間の注目を集めてきた。しかし、大幅な拡充が現実に難しいことは、案外知られていないのではないか。
言うまでもなく義務教育教科書は、児童・生徒に無償で給与されている。これにかかる予算は、2008年度で約395億円に上る。最近はあまり聞かれなくなったが、15年ほど前までは年末が近くなると、新聞に「教科書を有償化へ 大蔵省方針」といった見出しが、年中行事のように躍ったものだ。もちろん業界で言うアドバルーン(観測気球)記事であったわけだが、今の財務省も決して有償化をあきらめたわけではあるまい。
もしページ数が倍増されれば、数百億円もの経費増が見込まれるという。その分の予算拡充は保証されるのか。29日には概算要求基準が閣議了解されたが、当然その点はつまびらかではない。
そうでなくても教科書予算は、抑制される傾向にある。そもそも教科書の定価は1冊数百円という常識外れのものだが、それさえも実際にはほとんど据え置きと言っていい状態だ。教科書会社にとってはシェアさえ確保できれば安定した収入源となり得るが、逆に言えば、採択されなかった時のリスクは大きい。少子化で「読者」の市場が確実に縮小していく中で、コストのかかるビジュアル化などにも対応を迫られている。
だから、本当に教科書予算が拡充されるなら、質的な充実にも大いに資することになろう。あくまで本当に拡充されるなら、である。ページ倍増分が、重点課題推進枠に入るのか。それとも、文部科学省予算の中でやりくりせよと言うのか。その扱いによって、福田政権が本気で教育を重視しているかどうかが、測れるというものだ。
もっとも、先に初めて策定された教育振興基本計画が、ろくな数値目標を盛り込むことができなかったことから考えれば、そうそう期待はできまい。しかし、国内総生産(GDP)比の引き上げで数兆円、といった論議から比べれば、数百億円など小さいものである。それだけの数字も動かす決断ができないとしたらば、とても教育を重視しているとは言えまい。――もっとも、予算編成段階で政権が存続しているかどうか、それこそ保証の限りではないが。
↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます
| 固定リンク
| コメント (7)
| トラックバック (0)

最近のコメント