総合学習 「習得・活用・探究」研究の核に
13日、文部科学省主催の「総合的な学習の時間フェスタ2009~だから“総合”はやめられない!」が同省講堂で開催された。定員550人(うち教育委員会割り当て150人)を超える申し込みがあったというから、まだそれだけ「やめられない」教員がいるのだということを示した格好となった。
しかし全体としては現行指導要領の改訂時に比べ、明らかに総合学習に対する熱は冷めている。言うまでもなく、学力向上路線への傾斜のためだ。時間数が削減されたり、行事代替が認められたりしたことも拍車を掛けていよう。シンポジウムの質疑でフロアから挙がった「いま全国では『確かな学力』や『基礎・基本』の研究発表だらけだ」との指摘が、現状を如実に表している。フェスタに集まるような教員も、校内で孤立してはいまいかと心配になる。
しかし、本当にそれでいいのか。今回の改訂では、「習得・活用・探究」の学習活動をバランスよく行うことが求められている。総合学習は主に探究の部分を担うものとされるが、だからといって各教科では、教科内の「習得」「活用」だけをやっていればいいのか。これらの基盤となる言語活動は全教科・領域で実施することになっているし、全体計画とカリキュラム編成では当然、相互を関連づける必要が出てくる。各教科の指導にしても、ほかの教科や「総合」へとつなげる意識が不可欠になるはずだ。
逆に、総合学習を授業研究の核に据えた方がよほど効率的に新教育課程に対応できるような気がする。「活用」に関しても各教科に応用できる豊富な実践例があるだろうし、そうした研究を通して教科間の連携も自然と図れよう。
力を入れて指導すれば、手応えは得られる。フェスタで発表した広島県三次市立塩町中学校の女子生徒は、「総合学習はバラバラな知識をつなげる時間。教科を勉強していても、『これ総合学習につながらないかな』と意識するようになった」と発言していた。まさに、新指導要領の目指す生徒像だ。
もちろん、それが容易にできるとは思わない。横浜市立大岡小学校の発表に関連してフロアから東北地方の教員が、同小を視察した同僚の研究主任の話として「すごい勉強になったが、とても真似できない」という声を紹介していたが、それだけ研究と指導の蓄積が必要ということだろう。学校現場の負担軽減も含め、実践研究に打ち込めるだけの条件整備が切に望まれる。
「生きる力」の育成には基礎・基本も不可欠だということは、文科省や学者の弁というより、「総合」の実践を通して学校現場が明らかにしてきたことではないか。教科の「習得・活用」や学習意欲の向上には総合学習が有効だということも、これまでの実践例が示していよう。総合学習を通して進路が明確になったという鹿児島県立鹿本高校の女子生徒は「受験勉強にも気合が入るようになった」と語っている。
シンポジウムに登壇した前経済同友会代表幹事の北城恪太郎・日本IBM最高顧問も、「先生方には自信を持っていただきたい」と繰り返し呼び掛けていた。これからの社会に生きる子どもたちにとって不可欠な学習なのだという確信を持って、今後も現場実践の力を見せつけていただきたいものだ。
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