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2009年4月10日 (金)

2人の校長に期待する〈下〉 今度こそ高校版“島小”の実現を

 新天地でスタートを切った校長に期待するシリーズの2人目は、私立開智高等学校(埼玉)の関根均氏(51)である。というより、こんなにも早く、かつ堂々と紹介できることを、うれしく思う。

 実は関根氏のことは以前、本社説でもこっそり取り上げた。前任の公立高校での取り組みについて興味のある方は、『月刊高校教育』(学事出版)の本社配信記事をぜひご覧いただきたい。同誌には4月号から、関根氏自身の連載も始まっている。

 振り返ってみれば高校教育界はこの間、世間のいわゆる「ゆとり教育」批判と「学力向上」の要請に勢いを得て、大学進学率を上げることに腐心してきた観がある。もちろん、そのこと自体は否定されるべきことではない。しかし、その裏にはどうしても「伝統校の復活」や「生徒確保」という本音が、透けて見えてしまう。たとえ「地域の期待に応える」「真のリーダーを育てる」などという建前を掲げていても、である。

 実は関根氏も、大学進学実績を否定しない。それどころか、自身の出身校である「東大」すら目標に掲げて隠さないほどである。しかし、それは原義通りの方便であろう。その過程で目指すのは、人のために努力して勉強できる「天才」を育てることである。しかも、そのための明確な方法論もある。それに従えば、誰でも「天才」になれる――。

 関根氏は、こう言っては大変失礼だが東大などとても口に出せそうにない前任校において、「東大」を看板にした自主講座を立ち上げていた。当時、取材でそのことに水を向けると「僕は本気なんだけどなあ」と半分真顔で笑っていたことを思い出す。続けて自身が東大に再入学すべく通勤途上で勉強を開始していると聞いた時は、さすがにのけぞってしまったが。

 本当ならばあと何年かその前任校にとどまって、ぜひとも結果を出してほしかった。しかし、関根氏を守り切れなかった某県教委の力不足である。その県の高校教育界にとっても、大変な損失であると言わざるを得まい。

 しかし、そのおかげで全国の教育界は、大きな可能性を得た。「学びのサプリ」を中心とする関根実践は、高校教育にとどまらず中等教育全体、さらには初等教育、高等教育、社会教育、ひいては生涯学習までにも応用可能であると信じる。何とかメソッドの比ではない。その実証が、これから始まるのだ。

 本社記者はかつて前任校の校長室で関根氏の話を聞きながら、なぜか川向こうの伝説的な校長のことをと思い浮かべていた。その学校が、現代の高校版「島小学校」になるのではないかと夢想したのである。その夢想は結局、実現しなかった。しかし関根氏のまいた種は、今も芽を出そうとしている。

 関根氏が今度こそ現任校を「島小」とすることを、そして関根氏の意思を継ぐ公立高の先生たちとも連携しながら、教育界全体にインパクトを与えるような実践を示してくれることを、願ってやまない。そのために本社は今後とも、関根氏の動向に注目しながら、文字通り微力ながらの取材活動を行っていくつもりである。ご期待いただければ幸いである。

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コメント

聞けば聴くほどこれは酷(むご)いはなしだった。
A講師は3月から本校に病気休養の臨時教員で来ることになっていた。

しかし

今年の3月1日は何曜日でしょうか?
そうです、日曜曜日です。
だから、採用は月曜日からつまり3月2日からになります。

それがどうした!! 1日くらい!
とおっしゃりたいのは世間のみなさまよ―くわかります。

実はこのA講師を校長がようやく見つけてくれたのですが、1時間30分の通勤時間で、定期代にして約3万4千円。

これが1日付け採用でないと我が県は支払わなくてよいのだそうです。

つまり、2日からの採用ならあとの30日間の交通費は全額自己負担です。

このA講師手取りにして18万程。

ここから3万4千円差し引かれるのですから、たまったものじゃないですね。
typhoon

投稿: けんせい | 2009年4月19日 (日) 02時29分

飲酒については包み隠さず話してくださらないのでしょうか?

投稿: | 2015年8月11日 (火) 16時16分

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