LEC大募集停止 “小泉便乗”の退場を歓迎する
LEC東京リーガルマインド大学(学長=反町勝夫・東京リーガルマインド代表取締役)が、来年度から学部の学生募集停止を発表した。同大学は2004年度、構造改革特区制度による初の株式会社立大学として開校したが、当初から本当に大学としふさわしい体制を整えているか、疑問がぬぐえなかった。会計専門職大学院は今後も募集を続けるというが、公教育を安易に考えてきた経営主体は早々に退場して当然だ。
LEC大学は特区の特例により3カ月というスピード審査で設置認可されたが、その時から多くの留意事項が付けられ、その後の設置計画履行状況調査(アフターケア)でも毎年、留意事項による改善が求められ続けていた。2004年には肝心の特区である東京都千代田区の同意を得ないまま通信教育課程の設置を申請し、同新宿区などほかの特区の同意を得て認可されるという混乱もあった。そうしたこともあって定員割れに歯止めは掛からず、一時は14カ所あったキャンパスも12カ所に統廃合され、さらに2009年度は千代田キャンパスのみに募集を絞りながら、この結果である。
同大学の運営会社は、これまで「他の事業部門で学部の赤字を補填(てん)」しながら「懸命な努力」を続けてきたが、「現在、学部に在籍している学生の適切な修学環境の維持向上の為に経営資源を集中させることが適切であると判断」した、と説明している。さすがは株主利益を優先する営利企業、設立も統廃合も募集停止も、すべては迅速な経営判断のたまものだ――と評するのは、皮肉に過ぎようか。
だいたい、資格試験予備校が大学を設置すれば「ダブルスクール族」の学生の利便性が図れる、といった設立動機自体が、大学教育の何たるかを理解していなかった証左であろう。それを、当時は誰も抵抗できなかった小泉純一郎首相の威光とそれに乗じた一部省庁系官僚の威勢を借りて、設置認可をゴリ押しした面がなかったとは言えまい。その果てが10年も経たないうちに廃校では、あきれるばかりだ。
株式会社立では、2006年度に開校した大阪市のTAC大学院大学(山崎正和学長)が既に今年度から学生募集を停止している。もちろん経営が順調な株式大学もあろうが、今後ともアフターケアや認証評価による厳密なチェックが求められよう。
学校法人立大学も、他山の石とすべきである。やはり小泉政権下の規制緩和方針に従って設置認可自体が「事前規制から事後チェックへ」と弾力化され、18歳人口が減少しているにもかかわらず、専門学校や短大などを経営する法人が次々と4年制大学を新設した。今年度に入って私立大学が次々と募集停止を表明しており、今後も“連鎖倒産”は避けられまい。中央教育審議会の大学分科会は第1次報告をまとめたが、本格的な再編・共同時代を控えて、これに続く早急な具体的提言を期待したい。
母校がなくなってしまう学生には、同情するほかない。しかし、これも自由選択に基づく「自己責任」である。責められるべきは経営主体であり、問われるべきは、かつて国民が熱狂的に支持した政権の規制改革路線である。
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