« 民主政権の教育政策 「熟議」もいいが軸足固めよ | トップページ | 【池上鐘音】桜の下にて »

2010年3月 6日 (土)

全国学テ 参加率の高低は本質ではない

 2010年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の参加回答状況が文部科学省から発表された。抽出と希望利用を合わせれば、7割の高率である。これをもって悉皆(しっかい)方式から抽出方式に切り替えた政府=文科省の政策転換を批判する向きもあるようだが、的外れの論議と言わざるを得ない。

 本社が繰り返し指摘しているように、悉皆方式の全国学テの狙いは、個々の学校の教育の結果にまで国が「責任」を持つことにあった。それを抽出方式に切り替えるということは、テストが文字通り「調査」になったということである。希望利用の選択も含めて地方教育委員会の責任が重くなることも、既に論じた

 だから、教育現場や保護者にも悉皆調査を要望する声があるということを根拠にして政策転換の拙速さを指摘することに、意味はない。自分たちの学校や市区町村の相対的状況を知りたければ、希望参加にすればいいだけの話である。

 もちろん、新しい抽出・希望利用方式にも課題はある。希望利用の場合、問題などは無料で提供されるものの、採点や集計、分析は自分たちで行わなければならないことだ。確かに、これは現場の負担になろう。ただ、それも「検証責任」の範囲内である。抽出学テでは、結果の検証も現場に任されたととらえるべきだ。

 そうは言っても、採点などに掛かる時間的・予算的負担は無視できない。これも本社がかねて提案してきたことだが、希望利用を有料制にして従来通り調査結果を提供すればよい。利用料をどの水準に設定するかは、単に予算との相談である。額はともあれ自治体側の負担が原則ということであれば、責任の所在も明確になる。

 あるいは近年お得意の規制緩和路線に乗って、全面的な民間委託や、大学評価のような「認証評価」にするのも一考である。もっとも、それ自体が「民業圧迫」「規制強化」と批判されかねないが。

 これも繰り返しになるが、本社は国が全国学テを行う意義自体まで否定しない。学習指導要領の趣旨を具体的な設問という形でメッセージとして発すること、質問紙調査と併せて学力を左右する背景の分析まで行えることなど、メリットも大きい。

 公立で抽出対象以外の学校の希望利用率が63.2%に上ったことは、むしろ現場側の積極的な対応として評価すべきであろう。何より国立学校の参加率が前年度の100%から79.2%(希望利用率は46..8%)に、私立が47.4%から23.9%(同8.9%)に低下した意味を、よくよく併せ考えるべきである。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ

 ↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます

|

« 民主政権の教育政策 「熟議」もいいが軸足固めよ | トップページ | 【池上鐘音】桜の下にて »

社説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/506419/47737030

この記事へのトラックバック一覧です: 全国学テ 参加率の高低は本質ではない:

« 民主政権の教育政策 「熟議」もいいが軸足固めよ | トップページ | 【池上鐘音】桜の下にて »