一刻も早く「高校版就学援助」の実現を
通常国会が始まった。衆参ねじれの中で、与党幹部が召集前から2011年度予算案の修正に言及するなど波乱含みとなっている。もし本当に修正協議に応じるというのなら、ぜひとも復活させてほしいものがある。「高校生に対する給付型奨学金事業」、いわゆる高校版就学援助である。
高校版就学援助は、2010年度概算要求に当時の自民連立政権下で学用品費や修学旅行費など対象を広く取って455億円を計上。その直後に政権交代を果たした民主連立政権は組み替え概算要求で入学料と教科書費に絞った123億円を計上したが、実現しなかった。11年度も122億円を要求したが結局、年末の予算折衝で2年連続のゼロ査定となってしまった。
10年度予算に関しては、限られた時間の中で高校授業料無償化を優先するという特殊事情があったろう。しかし、11年度は最初から新政権の本格的な予算編成である。言い訳はできまい。 鈴木寛・文部科学副大臣は昨年12月24日の記者会見で「この奨学金の在り方について国民各層を巻き込んだ更なる議論がもう一段必要だ」との受け止め方を披露した。しかし高校生の学びをどう支援していくかは本来、授業料無償化とセットで構想されるべきではなかったのか。無償化はマニフェスト(政権公約)を盾に政治主導で1年目から実現させながら、給付型奨学金は議論が不足しているというのでは旧政権と変わらない。
本社は当時の社説で論じたように授業料無償化を支持しているし、これをバラマキだと批判するのは当たらないと考えている。給付型奨学金も含めて、まだまだ無償化に見合った生徒や高校への支援策が不十分だという立場も変わらない。いや、昨今の深刻な不況や「超氷河期」の再来である就職難を考えれば、その必要性は1年前に比べても相当高まっていると言えるだろう。
もちろん今国会で個別の概算要求事業が復活することは、たぶんないだろう。社会保障制度改革や子ども手当などをめぐって何兆円単位の攻防をしているときに、100億円余りの事業は予算関係者からすればゴミみたいな額である。そんな事業の復活論議をしている時間的余裕がないことは分かっている。しかし国家レベルではゴミみたいな予算をこそ一刻も早くと待ち望んでいる国民は、間違いなくいる。
菅直人首相は施政方針演説で「最小不幸社会の実現」を改めて強調した。ならば高校版就学援助こそ、困窮世帯の生徒の不幸を最小にする事業ではないか。政府予算案では確かに大学生の貸与奨学金や授業料減免は充実させたが、大学の入口にすら到達できず高校を去らなければならない生徒はどうするのか。文科省によれば高校生の授業料以外の学校教育費は公立で24万円、私立は46万円余りに上る。無償化の「着実な実施」(施政方針演説)だけでは不十分なのは明らかだ。
自民・公明両党も、少額ながら自らの政権下で考案されたこの事業を一つの目玉として修正要求してはどうか。解散総選挙を迫るより、よほど一般国民にアピールする効果があると思うのだが。
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