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2011年1月16日 (日)

大学入試の抜本改革はセンター試験の廃止から

 大学入試センター試験が終わったばかりだというのに水を差すようで大変申し訳ないが、あくまで近い将来に向けた話ということでお許し願いたい。本格的な大学全入時代を迎え、大学入試は抜本的な改革が不可避になっている。そのための論議のたたき台として、あえてセンター試験の「廃止」を据えるべきだ。

 もちろん、センター試験やその前身である共通第一次学力試験(共通一次)がこれまで果たしてきた大学入試改善と高校教育への貢献は、高く評価してもし過ぎることはない。国立大学の一期校・二期校制時代にあった難問・奇問はおおむね一掃され、高校の教育課程や教科書に配慮した良問が出題されるようになった。共通一次時代には偏差値による大学の序列化が一挙に進んだという弊害を生んだとはいえ、入試方法の多様化・選抜尺度の多元化が進んだのも、一定の学力を担保する共通試験があってのことだった。

 そうした入試改善が有効だったのも、あくまで18歳人口増加期の話である。

 今や18歳人口が減少に転じて20年近くが経過し、激烈な受験競争はすっかり昔のことになった。その一方で、大学の数は増加の一途をたどっている。「Fランク」という某予備校の造語(現在はBF=ボーダーフリー=ランク)に象徴されるように、偏差値序列化も以前のような意味をなさない。にもかかわらず、保護者世代はもとより大学・高校関係者は、いまだ序列化幻想に縛られている。

 北海道大学の調査研究報告書は、全入時代にあっては推薦・AOのみならず入試そのものの選抜機能が低下しているいことを指摘している。以前の社説でも主張した通り、「入試」に頼らない新たな高大接続の「選抜」方式が模索される必要がある。その意味で報告書に「『高大接続テスト(仮称)』の構築・導入とともに、センター試験の将来への問いが不可避的に生じる」とある一文を、無視すべきではない。

 報告書が指摘するようにセンター試験は、基礎的学力を把握することと、公平な選抜のための資料を提供するという、2つ機能を持ってきた。しかし高大接続テストがあれば、前者の機能はとって代わることができる。むしろセンター試験のさまざまな欠陥が克服できるのも、報告書の通りだ。そして後者の選抜機能は、このまま続けていても低下するだけである。

 入試に依存せずに高校段階での学力を客観的に把握する仕組みが、高大接続テストである。これが導入されれば、ほかの資料との組み合わせて、その大学のアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)にふさわしい学生を総合的に選抜することになる。これまでのような厳密な客観性・公平性は保てないが、だからといって1点刻みの入試を続けていればいいという時代ではない。

 新たな選抜方式が導入されれば、大学教育も高校教育も激変せざるを得なくなる。いや、むしろそれこそが求められていると受け止めるべきだ。高校と大学が連携して知識基盤社会に必要とされる人材を育成する、そのための「教育接続」が必要なのだ。

 本社は何も、今すぐセンター試験を廃止せよと主張しているのではない。しかしセンター試験の廃止提案ぐらいしないと、とても現場は動くまい。大学入試改革の論議は何かと「猫の目」改革だと批判されがちになるが、いま問われるべきは「入試」そのものなのだ。

 関連本社配信記事:「高大接続テスト」はどうなったの?

               「高大接続テスト」は「入試」ではない!?

              1点刻みの「入試」は不要に? 全入時代の大学入学

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