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2011年2月 7日 (月)

35人学級法案 与野党とも覚悟を

 何とも奇妙な法案だ。4日に閣議決定された、義務標準法の一部改正案のことである。小学校1年生だけを35人学級に引き下げることは別に不思議でもないが、附則では2年生以降と中学校の学級編制標準についても今後検討を行い、必要な措置を講ずるよう政府に求めている。まるで国会の附帯決議ではないか。

 本来なら本則を全学年35人にして、附則で「当分の間」として逃げたかったところだろう。それだけ文部科学省の「新・教職員定数改善計画」に対して、財務当局の抵抗が強かったことの現われでもある。しかし一方では、こんな奇妙な附則とはいえ今後の検討を法案に盛り込めただけ、文科省の巻き返しが奏功したと評価できなくもない。

 逆に言えば、この法案が民主連立内閣で閣議決定された意味は大きい。一面では昨年末の「来年以降の予算編成において検討する」という文科・財務・国家戦略3大臣折衝合意が法案に載っただけとも言えるが、他面では「国及び地方の財政の状況その他の事情」(法案附則)が許せば他学年でも学級編制標準を引き下げる必要があるということを、全閣僚一致で確認したということでもある。

 菅内閣の閣僚は、これによる責任を重々認識すべきだろう。「教育の状況」(同)に真剣に向き合い、それを打開するためには法制上・財政上の措置を取るべき義務を、自らに負わせたのだ。条文からは「財政の状況」が許さねば措置が取れないこともやむなし、という逃げ道さえ透けて見えるが、もしそうしたとすればマニフェスト(政権公約)の実現と同様、政権の無力さをさらに上塗りするだけである。実現可能性が薄いものでも何でも盛り込めばいい、という態度だったとしたなら、ますます国民の信頼を損ねるだろう。

 2011年度予算案およびこの法案がいつ成立するのか分からないが、12年度予算も例年通り8月末に概算要求が締め切られるとしたら、検討する時間は意外に短い。要求だけ出しておいて年末まで引き延ばすのもまた予算折衝の常とう手段ではあるが、小1のクラスが来年、35人になるのか40人に「増える」か直前まで分からないというのでは、学校現場だけでなく子どもたちが混乱する。成立後、政府・与党は覚悟を持って検討に当たらねばなるまい。

 対する野党にも、自覚が必要である。現政権を本気で打倒しようとするのなら、ごく一部の政党を除いてすぐにでも自分たちが「政府」を担う与党になる可能性があるのだ。もしこの法案を原案通り通せば、責任は早晩、自らに返ってくる。

 国の根幹である義務教育を支えるための学級編制標準は、どうあるべきか。ためにする批判ではない、真剣かつ実効性を伴った国会審議を求めたい。

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