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2011年9月18日 (日)

第2期振興計画 やっと“まとも”になりそうだ

  第2期教育振興基本計画の骨格が、中央教育審議会の部会で固まってきた。第1期計画が「総花的」だったとの反省から、4つの基本的方向性に重点化して成果目標も具体化する方針である。

 検討されている基本的方向性は、①社会を生き抜く力の養成②未来への飛躍を支える人材の養成③学びのセーフティネットの構築④絆づくりとコミュニティの再構築、の4つで、それぞれ幼児教育から高等教育、成人一般・社会教育に至るまで横断的に論点を整理しようとしている。

 おおむね妥当なところだろう。特に最後の「絆づくりとコミュニティの再構築」は、先に本社も主張した趣旨に合致するものとして歓迎したい。また「学びのセーフティネットの構築」も、現下の経済格差と教育格差を考えれば急務である。

 4項目にわたる「基本的方向」は、第1期計画にもあった。しかし「社会全体で教育の向上に取り組む」だの「個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる」だのといった抽象的なものが並び、その内容も文部科学省各局が進めていた政策課題を総花的に並べただけだったことは、当時の社説でも批判した。しかも財政当局との「調整」で数値目標がほとんど盛り込めず、教育基本法を改正してまでもくろんだ教育投資の増額さえ打ち出せなかったことも、指摘した通りである。

 事実2009年度の文科省予算で、振興計画の策定がプラスに働いた形跡は全く見られなかった。いくら予算事項の説明に「振興計画」を計上の根拠に挙げていようと、結局は調査研究協力者会議の報告書と同レベルの理屈付けでしかなかった。10年度にようやく文科省予算はプラスに転じたが、それは政権交代の成果であって振興計画のためではない。11年度予算では小学校1年生だけとはいえ30年振りの学級編制標準引き下げが実現したが、そもそも第1期計画には「教職員配置の適正化」とあっただけで、定数改善のテの字もない。

 部会では第1期の反省を踏まえて「抽象的、文学的修辞」を避け、「施策を総花的に盛り込むのではなく、重点化すべきではないか」(8月の第8回会合・参考資料)との方針が確認された。当然だろう。というより、そうでなければ“まとも”な計画とは呼べない。

 成果目標についても、9月の部会では▽数値目標を明示▽定性的な目標+測定指標(数値入り)の例示▽定性的な目標+測定指標(数値は無し)の例示――という3パターンが示されている。第1期計画がまさに「抽象的、文学的修辞」に終始して成果を評価しようもないものだったことから比べると、はるかに実効性あるものになることが期待されよう。

 今後の問題は、どれだけ教育現場の実態を踏まえ、現状の打開に有効な目標を盛り込めるかである。幸い、教育投資の拡充に積極的な民主党政権はかろうじて続いている。12年度以降の予算は東日本大震災の復旧・復興対策等で苦しい編成が余儀なくされるだろうが、だからこそ震災を踏まえた13年度以降の第2期計画では、将来への明るい希望が持て、国・地方がそろって計画に沿った行政を5年間推進できるようなものになることを望みたい。

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