12年度概算〈2〉 今度こそ「高校版就学援助」を
2012年度文部科学省概算要求のうち、教職員定数改善に負けず劣らず実現すべきものがある。「高校生に対する給付型奨学金事業」、いわゆる高校版就学援助だ。
高校版就学援助は、自公連立政権下の10年度概算要求で初めて計上された。直後の政権交代による組み換え概算要求では事業規模を縮小しながら、高校授業料無償化の財源確保を優先するためゼロ査定に。11年度も引き続き要求されながら、「政策コンテスト」でC判定(一定の評価はできるが、問題が大きい)を受け、やはり実現しなかった。「3度目の正直」にしなければならない。
今回は、実現しなければならない決定的な理由がある。東日本大震災だ。被災により困窮した家庭は少なくない。将来的な復興のためにも人材育成が不可欠であり、経済的理由で進学や在学を断念する生徒が出てくるようなことがあってはならない。貸与制では、将来の返済に不安を感じて二の足を踏む恐れがある。大学等就学支援奨学金と併せて、是非とも実現する必要がある。 もし要求通りの計上が難しい場合でも、被災地に限定した人員だけは認めるべきである。
そもそも今回の要求は、前年度に引き続き教科書等図書費相当額というささやかなものである。学用品費や修学旅行費など対象を広く取った前政権時はもとより、入学料を含めていた10年度概算より後退している。それでも、ないよりましである。せめてこれぐらいの要求は通してもらいたい。
経済協力開発機構(OECD)の統計を見ても、日本は依然として教育への公財政支出が対国内総生産(GDP)比で最下位だ。経済が上向きだった時期には家庭も重い教育費負担に耐えられたが、今や格差社会の進行は隠し切れない。人材育成に対する国の投資が経済発展に直結する、という国際的な常識を今こそ思い起こすべきである。
引用するまでもなく、周知の通り憲法26条は「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定している。その権利が保障されない事態が制定後65年を経た21世紀の現在に到来しつつあるというのは、恥ずべきことではないか。
新自由主義を掲げる者も、競争のスタートラインにさえ立てない子どもたちがいる問題を直視すべきだろう。たとえ財政が苦しい時期であっても、与野党一致して実現に努力すべき事業である。
家計負担が重い日本の教育費負担をどうすべきか。検討が進んでいる第2期教育振興基本計画の課題でもある。将来予測も含め、政府を挙げた対策が求められる。
過去記事:
http://ejwatanabe.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-f230.html
http://ejwatanabe.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-37f3.html
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