« 【池上鐘音】「英国」の五輪 | トップページ | 全国学テ 市民性育てる理科教育を »

2012年8月 8日 (水)

【池上鐘音】松本総監督のケイリンと競輪

▼ロンドン五輪の自転車トラック競技が終わった。3大会連続のメダルが難しいことは、競輪ファンなら承知の上だった。一般にはケイリンなどに出場した福島県双葉町出身の渡邉一成選手(福島88期S1)が注目されたが、多くのファンはむしろ松本整総監督の姿を感慨深く見つめたことであろう▼スケルトンの越和宏、フィギュアスケートの織田信成両選手のトレーナーとしてもスポーツ関係者に知られる松本総監督は、何と言っても元競輪選手(京都45期)である。それもアテネ五輪直前の2004年6月、4度目のタイトルを45歳という最高齢で獲得した高松宮記念杯の優勝インタビューで引退を発表したことは衝撃として今も記憶に残る▼現役時代にユニークな運動理論を掲げてスポーツジム「クラブコング」を設立し、年を取るほど強くなる「変なオヤジ」を自ら実践して「中年の星」とまで呼ばれた。ファンが作った横断幕「おじさんに夢とロマンを」はそれ以上の名品を知らない。しかし手塩に掛けて厳しく育てた村上義弘(京都73期SS)を強くしすぎたばかりに番手を狙われ、違反点が重なった▼本人は多くを語らなかったが、引退には危険行為の厳格化を進めてきた当時の日本自転車振興会(JKA、現在は日本小型自動車振興会と統合して「財団法人JKA」)や、それに迎合する日本競輪選手会(JPCU)への抗議が多分に含まれていたただろうことを、ほとんどのファンは分かっていた。小子も以後、本場(ほんじょう)から足が遠のいた一人だ▼背景にはJKAが2002年の新制度以降、国際競技を意識したルール改正にひた走ってきたことがある。48年ぶりの再開に沸く女子競輪(愛称ガールズケイリン)も、ロンドン五輪から女子にもケイリン競技が加わったことがきっかけだ▼しかし競輪の「ケイリン」化は義理と人情、競りが華という「競輪」の魅力を失わせる。少なくとも銀や銅では競輪人気復活につながらないことは、閑散とした各場を見れば明らかだ▼確執を抱えているはずの松本氏が総監督に就いたのは、世界選手権プロスプリント10連覇の盟友・中野浩一強化委員長(福岡35期)の熱心な誘いがあったからである。もちろん1年で結果が出るほど自転車競技は甘くない。ただ中川誠一郎選手(熊本85期S1)がタイムトライアル7位でスプリントの本戦に進めたのは、松本総監督の功績と言っていい▼中野―松本体制の本格化で、16年のリオ五輪が今から楽しみである。その時はじめて、2人が口をそろえるように「五輪でも日本でも勝てる」選手が必ずや育成されるであろう。もっとも、それが「ミスター競輪」中野時代の再来となるかは定かではない。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ

 ↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます

|

« 【池上鐘音】「英国」の五輪 | トップページ | 全国学テ 市民性育てる理科教育を »

コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/506419/55377140

この記事へのトラックバック一覧です: 【池上鐘音】松本総監督のケイリンと競輪:

« 【池上鐘音】「英国」の五輪 | トップページ | 全国学テ 市民性育てる理科教育を »