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2012年10月 2日 (火)

【池上鐘音】父娘の特別法

▼教員免許取得希望者に社会福祉施設などでのボランティアを義務付ける「介護等体験特例法」が制定されて15年がたつが、いまだに「介護」体験に関する芳しくない話をよく聞く。「等」に当たる特別支援学校での体験は好評なのに▼肝心の教育実習でさえ、中教審答申が「実習公害」の是正を求める現状にある。教職とは直接関係のない体験に身を入れさせるには、相当な事前指導が必要だろう。しかし教職課程は手一杯で、だからこそ修士レベル化が必要だという提言も出ている▼何も介護等体験を廃止せよと言っているわけではない。教員養成カリキュラムの抜本的な改革が伴ってこそ、介護等体験も生きよう。中教審の部会論議では「学部段階は教職に対する『覚悟』だけ迫れば十分」という主張が最もリアリティーがあったように感じたが、残念ながら答申には反映されなかった▼介護等体験特例法は田中真紀子氏が父・角栄元首相の介護をした経験を踏まえて、議員立法で成立させたものだ。その真紀子氏が、文部科学相になった▼就任会見で田中文科相は、政治家としてのモットーに「現場第一主義」を挙げた。ぜひとも文教行政の現場を広く見渡して、政策決定を行ってもらいたい▼時には乱暴とも思えるような大胆な判断も必要だろう。教員人材確保法が典型ではないか。わずか3条と附則の、教員給与を一般公務員より優遇すると定めるだけの特別措置法だが、高等小学校出を自任していた当時の田中首相が、教師に対する尊敬の念から成立させたという▼官僚と対立した外相時代の反省を肝に銘じているという真紀子文科相のことである。大胆さと緻密さのバランスが取れた時、父のように教育史に名を残すことができよう。もっとも「近いうち解散」を抱える野田内閣の閣僚として、残された時間は少ないが。

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コメント

 揚げ足取りみたいになってしまいますが、田中眞紀子氏のおっしゃる現場とはどこを指しているのか気になるところです。官僚組織や教育委員会などの行政側を指しているのか、実際に制作を実施する立場にいる教諭たちを指しているのか、それともこの両者のことを指しているのか・・・・・・どこの現場のことをおっしゃっているのかによって、受ける印象が変わる気がしました。

 お父上の角栄氏のように賛否両論あれど大きな変革をもたらしてくだされば良いのですが、時間の不足から軽率な政策をあげないことを心の底から祈るばかりです。

投稿: | 2012年10月 4日 (木) 19時34分

コラムですので、ぜひ深読みしていただければ幸いです。「現場」が的外れでないことを、文科官僚のような気持ちで祈っております(笑)。

投稿: 本社論説 | 2012年10月 4日 (木) 19時41分

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