« 【社告】 | トップページ | 【池上鐘音】真紀子検討会 »

2012年11月17日 (土)

大学の数 高等教育計画の策定再開を

 衆院解散を控えた16日午前、田中真紀子文部科学相は大学設置認可の在り方を見直す検討会を21日に設置すると表明した。3大学の不認可を撤回したまではよかったが、問題を設置認可の在り方に矮小化する姿勢を貫くことには賛同できない。期せずして招集された検討会の委員には、「高等教育計画」の策定を再開るべく議論の端緒を開くことを提案したい。

 国として入学定員の全体規模などを定める高等教育の中長期的な将来計画は、2000~04年度を最後に策定されていない。設置認可の弾力化と軌を一にして、市場原理に任されたからだ。

 そこには、自由競争に任せれば問題のある大学は自然に淘汰(とうた)され、需要と供給のバランスが取れるという極めて楽観的な見通しがあった。しかし実態はどうか。私立大学の46%が定員割れに陥りながら、01年度以降に統廃合や募集停止になった大学は、学校法人に解散命令が出された創造学園大学も含め、わずか16校にとどまる。

 本気で大学の数を減らしたいのなら、再び高等教育計画を策定し、積極的な統廃合を打ち出すべきだ。大学の数が20年で1.5倍になるまで増加したのは審査が甘かったからでは断じてなく、市場原理に任せた制度設計の必然だ。それも文部科学官僚のせいではなく、小泉構造改革の責任である。

 逆に、大学の数をもっと増やすべきだとの考えもあり得る。文科省は「大学の数が多過ぎるという立場を採らない」「日本の高等教育進学率は諸外国に比べて低い」という見解を繰り返しながら、「事前規制から事後チェックへ」の設置認可方針の下では増やすための政策誘導もできなかった。高等教育計画の策定再開で量的規模の拡大を打ち出せば、弾みになるはずだ。

 認可した大学すべてを等しく支援する必要はない。現在でも10校に1校程度は私学助成を不交付とするなど運営状況に応じてメリハリのある配分を行っていると文科省は説明しているが、これを厳しくして問題のある大学の退場を促進する手もある。痛みは伴うが、「痛みに耐える」というのはかつて国民が熱烈に支持した小泉純一郎元首相の決まり文句であった。民主主義のツケは、残念ながら国民がどこかで払わなければならない。

 全国的な規模だけではなく、地域間格差の解消も課題になろう。その時にこそ積極的な「メリハリのある配分」が求められる。大卒需要の高まりが期待される地域の大学には、定員割れを起こしても私学助成の対象から外さないなどの誘導策を採ってはどうか。限りある財源の下では、学生が集中する大都市圏で逆に配分基準を厳しくして統廃合を促すことも許されよう。 

 いずれにせよ大卒人材にどういった能力を求め、将来的にどれだけの者が必要なのかという国家戦略が不可欠だ。それが定まってはじめて、高等教育の量的規模に見通しがつこう。18歳人口の急増期ならいざ知らず、実質的な大学全入時代が到来した以上、国家戦略なき高等教育計画は無意味だ。

 大学間の競争を否定はしない。それが研究のみならず教育の質を高める面も確かにある。しかし教育分に関しては何から何まで競争原理、市場原理に任せていても機能しないことは、昨今の大学事情だけを見ても明らかだ。新自由主義のフィクションから、今こそ脱却しなければならない。

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ

 ↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます

|

« 【社告】 | トップページ | 【池上鐘音】真紀子検討会 »

社説」カテゴリの記事

コメント

衆院解散 でプログ検索中です。
政治生命を賭ける と言い 消費税増税を 決めた野田総理というか大臣達 予算案の前に解散。
前代未聞の、いろんな名前のついた解散劇となった。
野田総理の 国民に消費税増税を問う。とも聞こえてくるのは、私だけだろうか?また選挙となりますね。
票割れ選挙の恐れも ありますね。自公に逆戻りになる確立も 高いですね。ゼネコン
今後の政権を占う~選挙~国民・みんなの党・太陽~ 政治研究会(名前検討中

投稿: 村石太レディ&徳川 | 2012年11月17日 (土) 23時01分

こんにちは。大学教育の在り方について一言お願いします。元来大学とは高等教育を目的にしたものではありません。発端は知識欲から始まっていると思いますが、知識欲と考えると今の世界の大学事情も理解出来ます。この本質を国の繁栄と置き換える仕事は非常に難しいです。お金が欲しくてたまらない人に欲しければ先に金を出せと言うのですから。この意味で極論、アカデミズムとプラググマの共栄を図る国内勢力は私は知りません。

投稿: RALLY NEW WAVE | 2012年11月18日 (日) 00時27分

今朝 新聞を 見ていましたら 大学 短大進学率 50%を 少し超える数字でした。
学歴社会で 会社の面接も 高卒以上が 多く。大卒でないと 面接できないところもありますね。
高校中退者も 問題になるけれど 大学中退者も 多いのかなぁ?時どき そういう人にも 出会います。そういう場合 履歴書は 高卒になるのかなぁ?。
さて 大学というところですが 学問を 目指すためなのか みんなが行くからなのか
学校も スゴイ お金の儲かる商売なのだろうか?
私は 高校卒業してから 専門学校の夜間部に 行くんですけれど(いろいろ教材を 買いました。デザインの学校) 社会では その専門学校は 学歴と認めてくれていないところもあります。
大学の前に 義務教育 受験体制 教育問題 教科書 偏差値 道徳 他 問題かなぁ。医学部~
そういえば 私達の子供の頃 勉強すれば 金持ちになれるか?それで 試した子もいます。1流大学を経て、今 1流会社の 研究所にいると聞きます。賃金は いいようです。
日本の教育水準を 高めるのは 必要です。世界の中の日本。日本経済の未来~。
今のところ 競争教育の中で 1流大学の人に がんばってくさい。日本を頼みます。
学校教育研究会(名前検討中

投稿: 村石太レディ&徳川 | 2012年11月25日 (日) 11時39分

みんな 東大 行けると いいですね。学校教育研究会(名前検討中 大学

投稿: 村石太キッド | 2012年12月 5日 (水) 19時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/506419/56125847

この記事へのトラックバック一覧です: 大学の数 高等教育計画の策定再開を:

« 【社告】 | トップページ | 【池上鐘音】真紀子検討会 »