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2012年12月15日 (土)

総選挙公約〈4〉共産 情勢分析の頭が固いままだ

 「主要政党」を論じるシリーズの最後に、政権に加わる可能性がほぼない党をわざわざ取り上げるのはいかがなものかとは思う。ただ、教育政策に関する公約は日本共産党が一番詳しい。傘下に教職員組合を抱えているだけに、目の付けどころも現場感覚に合致している。本社の課題意識と重なり合う主張すら多々あることも認めよう。しかし、「ぶれない」ことを旗印にするゆえに頑迷さが裏目に出ている面があることも隠せない。

 その一例が「競争」に対する認識だ。「改革ビジョン」では「競争教育を一掃し、深く考える力や人間への信頼感を育みます」とある。確かに安倍自民党や橋下維新の会が新自由主義的教育政策を打ち出す気配の中、ますます教育に競争原理が導入されることは警戒しなければならない。

 ただ、「財界は、子どもたちを早くからテストの点数の物差で競争させ、ふるいにかけて、早い段階から『エリート』を効率的に育てようと、世界で例がないような競争的制度を競争に押し付けてきました」「競争的な教育で落ちこぼされた子どもたちは、力があるにもかかわらず劣等感をかかえ、勉強嫌いになります。『できる』子どもにしても、歪んだ劣等感をもち、早く『答え』を出すことの訓練で深くものを考える力が伸びなくなります」(各分野政策)という認識は、いささか古い。

 高度経済成長と人口急増期の時代ならいざ知らず、低成長と少子化の現在は子どもたちに競争意識を持たせることすら難しくなっている現状を直視していないのか。学習意欲の低下は、かつてのように受験圧力で意欲を喚起することができなくなっていることの現れでもある。進学実績を数値目標化している高校でも、「そこそこ合格できる大学」で満足する生徒にどうやって「上」を目指させるかで苦労していると聞く。

 むしろ子どもたちの学力の危機は、いまだにテストの点数さえ取れれば「勉強」ができたと思い込んでいることではないか。そして、そうした思い込みは教師の側にすら根強いように思えるのは偏見だろうか。専門家の職能団体でもあるのなら、実践によって子どもに学ぶことそのものの喜びを味わわせ、意欲を持たせることができているはずである。競争原理のまん延を阻害要因にしていては責任転化のそしりを逃れない。

 「深くものを考える力」にしても、それこそがPISA型学力、汎用的能力として文部科学省がいま追求しようとしているところであろう。旧態依然とした独自の学力観、指導観を対置させたままで行政批判だけしていれば事足れりとしていては、次代を生きる子どもたちへの公教育を担おうとする立場としては無責任ではないか。真摯な総括なしに「教育の自由」という言葉を使っていること自体、独善体質から抜け切れていないことが現れている。

 もちろん、一般向けの主張には単純化も必要である。しかし同党は教組と一体で教育運動を展開している。組合員も本気でそう信じ込み、情勢を語っている。他勢力との「共同」を方針に掲げている割には、自らの認識や主張に対する「確信」の方が依然として強い。そして、それこそが共同の広がりを阻んでいることに気付かないのだろうか。

 同党の組織拡大を図ることが最大目的ならば、それもいいだろう。しかし教育界全体の発展のためには何の益もないばかりか、望ましい教育改革を進めるためにはマイナス要因として働きかねない。

 何でもありの日教組に学べとは言わない。しかしもう少し情勢分析と運動方針に柔軟性を持たない限り、党員や組合員、傘下団体以外には相手にされないだろう。もちろん、それでいいなら結構だ。

 そもそも既存教組を叩けば教育が良くなるほど現状は甘くないし、何より教組自体に昔ほどの影響力はない。ただ現場の困難が深まる今、それを代弁する教職員団体の重要性が増していると思えばこそ、たまの機会をだしにして論じたまでである。

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