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2013年2月 1日 (金)

【池上鐘音】『鈴木先生』の希望

▼漫画版『鈴木先生』(武富健治作)を読んだのは、目当ての競輪漫画が『漫画アクション』誌(双葉社刊)に移った2009年3月からだった。ちょうど「@生徒会選挙!!」編が始まった号で、平成の時代にあって生徒会活動や演劇指導など古典的とも言える教育法が全面展開されていることに驚かされたものだ▼だから生徒の性行問題や教師のセクハラといった現代のリアルな問題を扱っていることはテレビ版『鈴木先生』(テレビ東京、2011年4~6月)で初めて知り、慌てて単行本を買いに走った。主役の長谷川博己の黒縁眼鏡姿が知己の編集者に似ていたため、理想的な女子生徒・小川蘇美に対する鈴木先生の妄想シーンが映るたび「やめろ、やめるんだF井先生~!」と妙な感情移入をしながら視聴していた▼原作物を映画化する場合、2時間ほどの尺に収めるためには大胆な構成も加えなければならない。そのため『映画 鈴木先生』(河合勇人監督)で、肝心の「鈴木式演劇指導」がすっぽり抜け落ちたのは残念だった。しかし子どもにせよ大人にせよ「普通」の人が追い込まれる今の社会に対して教育に希望を託すというメッセージは、しっかり伝わったように思う▼フランスの詩人アラゴンの「教えるとは希望を語ること」は教育関係者もよく引用する言葉であるが、必ずしも教育に希望が内在しているわけではない。教育にしか希望を託せない、というのが現実であろう。それも鈴木先生のように日々の極めて古典的な指導の積み重ねと時々の綿密に計算された発問によってこそ子どもの成長が促されるものであることを、世間にも理解してもらいたい▼消耗し、あらぬ妄想を抱えながらも踏みとどまって全身全霊で「先生」を演じながら希望を語ろうとする姿まで描かれているところに『鈴木先生』の真骨頂がある。必要なのは、そんな教師を応援することだ。ダメだのクソだのと罵倒して学校現場の尻をたたいたところで教育は良くなるどころか、逆効果しか招かない。

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コメント

先日はお疲れ様でした。そんな編集者さんがいらっしゃるんですね、ははっははっははっ…。

投稿: | 2013年2月 2日 (土) 13時57分

まぁ先生にも編集者にもいろんな方がおいでですからねぇ、ははっははっははっ…。

投稿: 本社事業部 | 2013年2月 2日 (土) 18時30分

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