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2013年4月 7日 (日)

【池上鐘音】下村文教行政の凄味

▼4日に行われた「道徳教育の充実に関する懇談会」初会合での下村博文文部科学相の冒頭あいさつには、ある意味で驚かされた。最大の眼目である道徳の教科化について、自ら切り出して「我々が目指しているのは戦前の特定の国家主義的な価値観を復活することでは全くない」と断言したのだ▼道徳の教科化と言えば、第1次安倍内閣時の「教育再生会議」第2次報告で「徳育」として提言されたことがある。確かにこのネーミングでは戦前の修身の復活といったイメージが拭えず、むしろそうしたニュアンスも込めたい思惑が見え隠れしていた。しかし今回は、機先を制した格好だ▼委員の人選にも工夫がみられる。もともと安倍ー下村ラインに近い貝塚茂樹・武蔵野大学教授や政治ジャーナリストの細川珠生氏らを入れる一方で、学校関係者はもとよりメディア心理学、法教育、家族社会学など多彩な専門家を集めている▼座長には第1次安倍内閣当時の中教審会長だった鳥居康彦・慶応義塾学事顧問を、副座長には元文科省教科調査官の押谷由夫・昭和女子大学教授と、元文科事務次官で教育課程のエキスパートでもあった銭谷真美・東京国立博物館長を据えた。教科化実現のための堅実な布陣と言えるだろう▼下村文科相の発言や人選から推察すると、あくまで学校の教育活動全体を通じて道徳性を養うという現行の道徳教育の在り方を前提にするようだ。そうなれば反対はしづらい。というより熱心に道徳教育に取り組んできた者ほど「我が意を得たり」となるはずだ▼以前の社説で下村文教行政について「警戒しつつも期待したい」と書いた。しかし100日間の慎重かつ着実な行政運営は、警戒する余地も与えない。教育界バッシングで実現を迫った前回とは手法を異にする、あくまで現実的に「実行」を追求しようとする姿勢には凄味さえ感じる。

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