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2014年8月15日 (金)

敗戦の日に思う 「アベデュケーション」に最大限の警戒を

 戦後69年目の終戦記念日を迎えた。しかし第2次安倍政権は集団的自衛権の行使容認に踏み切り、隣国との緊張関係を助長してはばからない。

 本社は新年社説で「政権の暴走監視し未来志向の教育へ」と論じた。しかし年初からさっそく学習指導要領解説で「解釈改訂」を行う暴走ぶりである。政府が「海洋教育」を充実させる方針であるとの一部報道もある。懸念は高まるばかりだ。

 安倍首相には、自分の眼前にある危機しか見えていないらしい。領土・領海をめぐる危機であり、彼の信じる「美しい日本」が失われる危機である。さらに言えば株価が下がってアベノミクスが破たんし、宿願である改憲ができない危機であろう。いずれにしても未来志向どころか、まったくの後ろ向きだ。

 次の指導要領改訂論議は、そんなものに焦点化されてはならない。国内的には主体的に判断し行動できる将来の市民・主権者を育て、国際的には異なる価値観を持った人とも協調して物事を成し遂げ得る人材を育成すべく、「資質・能力」シフトの教育課程改革を是非とも推進する必要がある。それが冷戦と高度経済成長に伴って形成された知識偏重社会を是正することはもとより、敗戦の教訓を基に確定された日本国憲法の理念にもかなうものだと信じる。

 交通遺児として苦学経験を持つ下村博文文部科学相はそれなりに抑制された文教行政を展開してきたとはいえ、首相の「お友達」として端々に政権の「牙」をむき出しにしてきたのは先に見た通りだ。9月には内閣改造も予定されている。大臣が代わったら、果たしてどうなるのか。

 教育再生実行会議の委員は、安倍政権の教育政策を「アベデュケーションと名付けて期待を掛けた。しかし経済再生と並んで教育再生を内閣の最重要課題と言う割には、文教予算が拡充した実感はない。むしろ右ブレ政策以上に、教育に対する首相の関心はないようにさえ思える。

 幼児教育の無償化にしても、本気ならば内閣主導で予算構造を変えるぐらいしてこそ国家戦略というものだろう。政権のご機嫌取り程度の予算しか付けられないのでは、政権交代前の行き詰った自民党長期政権末期と何ら変わりがない。来年度予算編成で教職員定数改善に向けた展望が開けなければ、いよいよ教育界は幻想を捨てた方がいい。

 良識の範囲内を旨とする本社は、若気の至りのような戦後社会科学的思考を振り回すつもりはない。それでも教職員組合が掲げ続けてきた「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンが5年後、10年後に現実味を帯びそうな実感を、どうしても拭えない。

 全体的な緊張関係の中で戦争は偶発的に起こるのが歴史の教訓である。それを慎重すぎるほどに抑止しようとしてきたのが戦後政治であり、戦後教育ではなかったか。それを国民の支持を口実に全能感を持って一変させようとする首相と、それに追従する政治家の文教政策には、依然として最大限の警戒をしつつ徹底した是々非々で監視を続けなければならない。

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