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2014年11月12日 (水)

定数改善計画は仕切り直しを

 2015年度予算をめぐって財務省が公立小学校1年生を現行の35人学級から40人学級に戻すよう提案していることが、世間から批判を浴びている。おそらく年末までには引っ込められることだろう。しかし同省の意図を察すれば、痛くもかゆくもなかろう。“本丸”は幼児教育無償化を進めるための財源を文科省側に用意させることにあるのは明らかだ。当然、概算要求している「新たな定数改善計画(案)」の実現どころではなくなる。

 ここで本社は、教育マスコミにあるまじき主張を展開したい。今回の教職員定数改善計画の要求は、そもそも無理がある。いったんは撤回し、16年度以降に仕切り直して要求すべきだ。

 学習指導要領の改訂諮問が、いよいよ今月20日に決まった。次期教育課程の目玉は小学校英語でも日本史必修化でも、ましてや領土教育でもない。「育成すべき資質・能力」に基づく指導要領の構造改革、もっと言えば「21世紀型能力」の育成だ。

 「新たな定数改善計画」は「教育再生の実行に向けた」という政権のご機嫌をうかがう枕ことばを付けながら、「授業革新」「チーム学校」のため10年で3万1800人の定数改善を実施するとしている。しかし、肝心の「授業革新」には、中身も根拠も薄い。また、1万500人分の改善で足りるとも思えない。

 国際教員指導環境調査(TALIS)の結果が十分に生かされた計画とも言えない。国内では相変わらず教員の勤務時間の長さや授業時間の少なさが問題視され、結果的に「子どもと向き合う時間の確保」ばかりが強調されるが、それよりも問題なのは主体的な学びを引き出すことに対しての自信の低さだ。教員研修や授業研究の時間確保も視野に入れた研修等定数や勤務の抜本的見直しが不可欠だろう。

 財務省主計官ならずとも、こんな雑駁な要求が通るはずはない。もちろん疲弊が進む学校現場にとっては、いかなる理屈であっても定数改善の実現は悲願だろう。しかし責めを追わねばならないのは、こんな無理筋の要求を進めた下村博文文部科学相である。

 21世紀型能力の育成は、ますますグローバル化と少子高齢化が同時進行する日本の社会・経済の持続的な発展に不可欠のものである。むしろ、これこそを国家戦略として公財政を集中的に投資すべきだとさえ思える。

 教育課程改革については諮問文を見た上で改めて論じたいが、中教審には条件整備面も含め早急に本格的な論議をまとめることを期待したい。そして、具体的な「授業革新」に向けて2020年度以降の全面実施をにらんだ10年計画を改めて策定すべきだ。

 15年度予算では、現場の疲弊を食い止める緊急的な改善にとどめるのが妥当だろう。そしてじっくりと日本の将来を見据えた学校教育の在り方を見定め、国民の理解を得てから本格的な定数改善に乗り出す方が正道だ。

 折しも永田町には解散風が吹いている。各党にはぜひアベノミクスの当否や消費増税の是非だけでなく、教育政策も政権公約に掲げてほしい。それも抽象的な言葉や空手形だけでない、条件整備面も含めた具体的な政策提言を、である。

【関連本社配信記事】
「40人学級に戻すべき」財務省の本当の狙いは?
(THE PAGE2014.11.10)

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