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2016年7月 9日 (土)

給付奨学金より授業料免除・減免の拡大を

 明日は参院選の投票日である。18歳選挙権の導入に伴って、多くの政党が公約に給付型奨学金の創設を掲げている。しかし既に主張した通り、安倍政権と同様、実現できたとしても小規模にならざるを得ないだろう。だから、あえてハードルを上げたい。授業料免除や減免を拡大してみせよ、と。

 日本学生支援機構の奨学金は、あくまで「借りたものは返す」が原則の貸与型奨学金である。返還金を原資としなければ、制度すら持続できない。どう弁明しようとも、実態は「学生ローン」であることに変わりはない。

 もちろん現在進められている「有利子から無利子へ」の移行や、より柔軟な所得連動変換型の導入は、いずれも不可欠だ。給付奨学金の創設を公約に掲げるくらいの政党なら、さっさと財源を確保して実現すればいい。

 しかし多くの卒業生に多額の「借金」を負わせる実態は依然、放置されるままだ。4年後に経済再生の恩恵が全国津々浦々に及んで新入社員でも返済が楽々……などという状況が起こるとは、今のところ想像できない。

 そもそも、「本当に厳しい」学生には給付型で、そうでなければ貸与型で――などという仕分けが通用するだろうか。2014年度、私立大学の授業料は平均86万4384円だが、理科系は104万8763円、医歯系に至っては273万7037円に上る。他に入学金や施設設備費などが掛かることは言うまでもない。中流以上の家庭でも、授業料等の足しにするため奨学金を利用せざるを得ないのが実態である。

 学生への経済支援策は、奨学金だけではない。授業料負担を下げることも本来、重要なはずだ。しかし、現実にはさほど期待できない給付奨学金の創設に目がくらまされて、そこに関心が向かなくなっている。

 もちろん、こうした提言が現実的ではないことも分かっている。国立大学への運営費交付金は財務省側の減額攻勢をを押しとどめるのに精いっぱいだし、私立大学に至っては、これだけ高等教育規模が拡大する中で授業料にまで影響を与え得るような私学助成の大幅アップは見込めまい。ましてや専門学校まで考えれば、地方財政までをも考慮に入れなければならなくなる。

 言いたいのは、そこまで真剣に考えて学生の負担軽減策を打ち出さなければ責任政党とは呼べない、ということである。消費増税さえ見送って、どこに財源があるのか。財源がなければ、極めて対象が限定されざるを得ないことは必定だ。

 新たに有権者となった18・19歳も、騙されてはいけない。まずは今、それだけ教育政策が冷遇されていること、そして自分たちが声を上げなければ、耳触りのいい公約だけ掲げられて実態は何も改善されない状況が続くのだ、ということを理解して投票に臨んだ方がいい、と老婆心ながら申し上げておく。大人たちが積み上げてきた政治状況は、それだけ行き詰まっているのだ。

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