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2016年8月31日 (水)

【池上鐘音】密教指導要領

▼次期学習指導要領の「審議まとめ」が固まったというのに、本社の本来業務である取材と記事配信に追われ、なかなか社説を書くことができない。その上で、仏教系学校の先生でも理解していただけるかどうか分からないような指摘をしておく。次期は「密教指導要領」であると▼もちろん現行指導要領も大乗である以上、古密教の要素が入っている。「生きる力」がそれだ。今回の改訂は、それを純密化する試みである▼すべての教科・領域等を「資質・能力の三つの柱」で整理するのが、改訂の眼目である。つまり、どんな教科であっても「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三智如来、あるいは三大明王などが展開する。そして、すべては「生きる力」大日如来の顕現だ▼「密蔵深玄(じんげん)にして翰墨(かんぼく)に載せ難し。更に図画を仮りて悟らざるに開示す」(空海『請来目録』)。 「審議まとめ」でも、ポンチ絵(概念図)がこれでもかというくらい多用されているではないか。まさに密教曼荼羅と言っていい▼だからアクティブ・ラーニング(AL)という型をなぞっても、仏果は得られない。灌頂を受けずに印を結ぶのと同じだ。「主体的・対話的で深い学び」という悟りを得なければ、阿闍梨もとい「次世代の学校」を担う教員にはなれまい▼注意しなければならないのは、金胎両部を大成した天才留学僧(るがくそう)空海ですら中期密教しか知らなかったことだ。当然その後チベットで花開く後期密教のことは、知識もなかったろう▼今回の改訂がどの段階にあるのか、正直よく分からない。本当にこれで2030年に向けた国際標準になると胸を張れるか、更なる検証が必要だろう▼心配なのは、学校現場が安易にAL宗などの選択(せんじゃく)に走ることだ。カリマネ宗が隆盛するかはおぼつかないし、ましてや「社会に開かれた教育課程」を念仏ないし題目のように唱えて功徳があるかは保証の限りでない。

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