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2017年6月15日 (木)

教職課程コアカリ 忖度の「ミサイル教育」

 記事配信を本業とする本社としては本来、依頼メディアに記事掲載されてから論じるべきことかもしれない。しかし、それではパブリックコメント(意見公募手続)の終了後になってしまう。また報道の最末端にいる者として、国家権力のチェックを怠ったことも正直に恥じ入らねばならない。

 教職課程コアカリキュラム(コアカリ)に関して14日夜、上智大学で緊急シンポジウムがあった。25日が期限のパブコメを出す際の参考にしてもらおうと開催されたものだ。

 コアカリの策定、もっと言えば再課程認定で文部科学省が何を狙っているかは、この際おいておこう。各論に問題は多々あるにしても、本社は必ずしも課程認定の厳格化に総論として反対するものではない。

 看過できないのは、シンポで指摘された以下の点だ。3月の第4回「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会」の案には、学校安全の到達目標の一つに「生活安全、交通安全及び災害安全等の各領域の安全管理並びに安全教育の両面から具体的な取組を理解している」とあった。

 それがパブコメの案では「生活安全、交通安全、災害安全の各領域や我が国の学校をとりまく新たな安全上の課題について、安全管理および安全教育の両面から具体的な取組を理解している」(傍線はシンポ報告者のレジメによる)に変更されている。

 報告者は「これ(傍線部分)が何かは混とんとしている」と控えめだったが、会場に参加していた文科省の審議会行政にも詳しい研究者は「ミサイルのことに決まっている」と喝破した。確かに最近、北朝鮮のミサイル発射を想定した自治体の避難訓練に学校も巻き込む例が増えてきている。

 もちろん手続き上は問題がない。座長一任を取り付ければ、その後に事務局と相談の上で修正が加わるのはよくあることだ。しかしそこに当該検討会はおろか中教審等でも一切議論されていないことがたくし込まれたとすれば、やはり政権の意図を疑わざるを得ない。

 思い起こされるのが、以前論じた「解釈改訂」だ。当時の下村博文文部科学相は学習指導要領本体の改訂を待たずに、解説を一部改訂して「領土教育」を盛り込むという異例の措置に出た。

 パブコメを受ける格好で、政権の意図を体現しようとしたこともある。次期指導要領の「海洋教育」のことだ。以前の社説で紹介した通り一部中教審委員の異論を受けて、結果的には現代的課題ではなく社会科等に位置付ける形で落ち着いた。

 文教行政に政治的な意向をこっそり反映させることは、今に始まったことではない。しかし森友・加計の両学園問題で注目された忖度(そんたく)がまん延している証左とみることもできよう。誰が行政をねじ曲げているのかは、明らかだ。それも形式上は「正当」な手続きを踏んだ上で、である。

 本社はもともと、パブコメの実効性に期待していない。反対意見が多く寄せられたとしても、どうせ聴き置かれるだけなのは今に始まったことではないからだ。「ミサイル教育」にしても、支持する国民はあろう。しかし安倍一強の下でどのような政治が進められているのか、たとえ細事であっても書かずにいられない。

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