小中教員 9000億円タダ働き!?
薄々分かっていたこととはいえ、改めて数字で説明されると驚くというより笑うしかない。28日に行われた中教審「学校における働き方改革特別部会」第8回会合の終盤、清原慶子・東京都三鷹市長の質問に答えて、文部科学省初等中等教育局の伊藤学司財務課長が回答した教職調整額をめぐる「試算」だ。
公立学校の教員は、時間外手当が出ない代わりに教職調整額として給料月額の4%が上乗せされる。ただし、この割合は1966年の勤務実態調査で平均残業時間が月8時間だった時代に決められたものだ。
「しっかり試算を出しているものではない」と断りながらも、伊藤課長が控え目に説明した数字はこうだ。約1.5兆円の義務教育費国庫負担のうち、教職調整額1%分は約120億円に相当する。4%なら500億円弱になる。
昨年の勤務実態調査で明らかになった残業時間を教職調整額に反映させるとしたら、「小学校で30%近く、中学校で40%程度に」引き上げなければならない。そうなると、追加費用は国庫負担ベースで3000億円を超えるという。負担割合は3分の1だから、事業費はその3倍だ。もし教育調整額を残業代に切り替えるとしたら、割増が加わって更に25%増となる――。
勤務実態調査では、小学校教諭の3割、中学校教諭の6割が「過労死ライン」にあることが明らかになった。今の学校は、そうした教員の献身的な長時間過密労働によって支えられている。それも、乱暴に言えば9000億円の「タダ働き」によってだ。もちろん、ここには全額が地方交付税措置による公立高校教員の分は含まれていない。
とはいえ現段階では教職調整額を大幅どころか1ポイント引き上げることさえ、まったく期待できない。ましてや残業代に切り替えるなど、残念ながら非現実的だ。かと言って「働き方改革」で削減できる労働時間など、たかが知れていよう。
財務省の財政制度等審議会は29日の建議で、教員の働き方改革について「まずは教員の業務の見直し」を求め、文科省の教職員定数改善要求をけん制している。もっとも毎年のことであり、今年はむしろ控え目な表現だから額面通り受け取る必要はないのかもしれない。
しかし、そもそも9000億円のタダ働きをさせているのが実態だとしたら、せめて文科省の概算要求分ぐらいは全額認めるべきではないのか。単年度3415人、9年間で総計2万2275人の増といっても、自然減や若返りに伴う給与減を含めればマイナス要求でしかない。
安倍内閣の姿勢も問われよう。もっとも教育無償化にばかり気を取られて、それどころではないかもしれない。そもそも「教育再生」への対策は済んだ話で、後は「実行」だけだと思ってはいないか。第1次も含め政権の無策が学校現場を再生どころか疲弊させていることに気付くべきだ――と言ったところで、モリ・カケ問題のごとく聞く耳を持たないだろうが。
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