« 初中教育諮問〈2〉 「人員増」じゃない? 徹底追及を | トップページ | 【池上鐘音】2021年度!? »

2019年5月21日 (火)

「やってる感」全面展開の実行会議11次提言

 これで今でも「大方針」だと胸を張れるのだろうか。

 政府の教育再生実行会議がまとめた第11次提言は、19ページだった1月の中間報告に対して33ページにわたっている。確かに「作文」としての統一性は取れているが、中身はゴミみたいな提言の寄せ集めにすぎない。

 「今が取り組むべき最後のチャンス」「対応が遅れた場合、我が国は新たな国際競争の大きな潮流の中で埋没してしまうおそれさえあります」――。確かにSociety5.0時代を控えて、問題意識だけは大言壮語だ。しかしICT(情報通信技術)が「マストアイテム」だという割に、地域格差の拡大が深刻になっている環境整備に関しては要因・背景を分析して対応を可及的速やかに行うだの、教育委員会だけでなく地方公共団体全体に直接かつ継続的な働き掛けを行うだの、極めて具体性・有効性に欠ける。

 奇妙なことだが、むしろ同会議に参考資料として示された自民党の教育再生実行本部第12次提言、とりわけ「次世代の学校指導体制実現部会」の提言の方が、はるかに具体的だ。文章も整いすぎるほど整っている――というより、いつもよく目にするような言い回しにあふれている。きっと霞が関あたりの優れた「文学者」が書いたに違いない。

 そんな党「本部」提言の中にも、極めて珍妙な文章がある。「高等学校の充実に関する特命チーム」提言だ。そこでは、高校制度が「昭和の学校」から脱却し切れていない状況にあり、今こそ「令和」にふさわしい高校へ生まれ変わることが必要だと指摘する。良くも悪くも高校改革が「平成」の時代に進行した歴史を知らないのか。少なくとも、それに対する総括はない。

 そうした「昭和」の頭で提言されたのが、高校普通科の改革だ。党「本部」提言にはサイエンス・テクノロジー科だのアスリート科だの事細かな「改正イメージ」が示されて、肝心の政府「会議」提言では四つの「類型の例」にまとめられているが、今さら細分化の発想はいかがなものか。それでいて文系・理系のバランスが取れた科目履修を求めるなど、今以上にカリキュラム編成を窮屈にするような矛盾した提案を平気で並べている。

 実行会議は、確かに第2次提言ぐらいまでは是非はともかく「実行」のスピードに目を見張るものがあった。しかし発足から6年が過ぎ、10次以上を重ねるまでもなく「やってる感」で出し続けているような提言が目に付く。第11次は、その際たるものだ。

 こんな「大方針」を受ける中教審も大変だと同情したくもなるが、おそらく心配はないだろう。官僚の頭の中で、ある程度の整理はできているに違いないからだ。たとえどこかに忖度(忖度)したかのようなゴミを寄せ集めた提言でも、である。

 そうして答申にこぎつけたとしても、教育現場にとって困難な現状を打開するような施策が出てくる期待は現段階で薄いようにしか思えてならない。文教政策の形成をめぐるそうした空虚さ自体が、実は深刻な問題なのかもしれない。
 

にほんブログ村 教育ブログ 教育論・教育問題へ
にほんブログ村

 ↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます

|

« 初中教育諮問〈2〉 「人員増」じゃない? 徹底追及を | トップページ | 【池上鐘音】2021年度!? »

社説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 初中教育諮問〈2〉 「人員増」じゃない? 徹底追及を | トップページ | 【池上鐘音】2021年度!? »