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2020年5月 3日 (日)

9月入学検討 “アベノ休校”のツケを回すな

 9月入学に移行すべきだ、という議論が急浮上している。少なくない都府県知事の声にも押され、政府が官邸官僚の下に論点整理の作業に着手した。「前広(まえびろ)」のニュアンスは判然としないが、安倍晋三首相自身が前向きとの観測もある。

 まず確認しておこう。授業が遅れるきっかけを作った3月の全国一斉臨時休校措置要請という首相の「政治判断」は、明らかに間違いであった。控えめに言っても、勇み足だろう。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、3月19日の状況分析・提言で「学校の一斉休校だけを取り出し『まん延防止』に向けた定量的な効果を測定することは困難」との見方を示した。さらに、4月1日の状況分析・提言では「現時点の知見では、子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしてはいないと考えられている」とした。

 もっとも文部科学省は2月28日付の通知で、休校期間や形態について設置者の判断を妨げるものではないとしていた。この件では萩生田光一文部科学相も、まっとうな見識を示したと評価できよう。

 しかし実際には、3月16日時点で公立学校の99%が臨時休校に入っていた。教育行政の執行機関である教育委員会だけでなく首長の強い意向があったのも確かで、記者会見で自ら「指示した」と公言する首長さえ続出した。勘違いも甚だしい。

 そうした流れを積極的に作ったのが、都道府県立学校に関する全国の知事だった。いわば自らの「政治判断」で、アベノマスクならぬ“アベノ休校”に便乗したのだ。あげく3月24日に文科省が再開要件を示しても、ずるずると再開できずに政府の緊急事態宣言を迎えた。4月16日現在でも、公立学校の93%が休校している。

 そんな知事たちが、いま「9月入学」を言い始めている。3カ月もの間ほとんど授業をできなくしたのは、自らの責任であるという自覚はあるのか。ましてや「社会改革」だの「グローバルスタンダード」だのと正当化するのは、見当違いも甚だしい。

 もちろん学校現場にも、授業時数確保策を求める声はある。ただし『教育新聞』電子版の読者投票「Eduvate」でも、賛否は拮抗(きっこう)している(3日8時現在)。

 社会改革を言うのなら、例えば教育分野なら学生が大学を辞めないよう高等教育への公的投資を大幅に増やして国立大学運営交付金や私学助成金を増額するとか、オンライン授業を促進するため国が責任を持って1人1台持ち帰り端末と家庭も含めた高速通信環境を保障するとか、すぐにでも進めるべき大胆な改革は幾らでもある。責任転嫁で改革者気取りをするのだけは、勘弁してほしい。

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