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2020年7月 1日 (水)

共通テスト 「第2日程」希望、多めに報告を

 初となる大学入学共通テストの日程が、正式に決まった。新型コロナウイルス感染症の影響に伴って今回に限り設けられた“第2日程”(2021年1月30・31日)は、校長が認めれば現役生が受験できる。“第1日程”(同16・17日)の間で得点調整は行われない。

 第2日程を選択すれば、第1日程で出題された問題から共通テストの新傾向を正式に読み取れるメリットがある。一方で個別試験の日程は基本的に変わらないから、受験生はどちらを選ぶか悩みどころだろう。

 従来の追試験・再試験と違って、第2日程の会場は全都道府県に設けられる。文部科学省は、第2日程を選ぶ生徒がどれぐらいいるかの意向調査を全国の高校に行うという。

 各高校には、ぜひ第2日程の受験予定者数を多めに見積もってもらいたい。そもそも高校側はもとより生徒も、年末までの学習の遅れなど正確に見通せるわけがない。何しろ英語民間試験の活用がまだ生きていた際、文科省は生徒が各時期にどの検定を選択する意向であるか多めに報告するよう要請した“前科”がある。たとえ高校側が腰だめの数字を報告しようと、引け目を感じる必要はない。

 希望者が多ければ、それだけ各県で会場が多く設定される。大学側にとっては負担だが、例年通りの入試日程を主張した責任の範囲内だろう。その結果のコストは負うべきだ。

 もし第1日程と第2日程が同じくらいの受験生や会場になれば、期せずして複数回実施の“社会実験”になり得る。たとえ各日程の難易度が違って1点刻みの入試ができなくても、そもそも今般の入試改革は主体性・多様性・協働性も含め多面的・総合的に入学者を選抜すべきはずだから何の問題もない。

 こう書くと「受験生をこれ以上、実験に使うな」とか「公平な入試ができなくなる」という反論があろう。しかし1点刻みによる「公平」な入試からの脱却は、もともと14年12月の中央教育審議会答申で掲げた高大接続改革が目指していたものだ。それが高大接続システム改革会議、新テスト検討・準備グループと会議体を変えながら具体化を先送りする中で、いつの間にか変質していった。文科省自体も「公平」な入試の落とし穴にはまった感がある。

 年2回程度の複数回実施なら、難易度の平準化に項目反応理論(IRT)を持ち出すまでもなかろう。1点の重みが当然違っていることを前提に、各大学の責任で選抜すればいいだけである。なのに16年3月のシステム会議最終報告は、記述式問題や英語多技能評価などを導入することで1点刻みの評価は改革できるという論理のすり替えで複数回実施を見送ってしまった。

 本社が主張する社会実験とは改革を徹底して実装するため、いつかは必要になることだ。泥縄式に持ち上がった9月入学への移行論より、よっぽどましだろう。記述式と英語試験の見送りで、かえって「公平」な入試への回帰を促してしまっている傾向にも軌道修正を図るべきである。


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