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2021年3月 7日 (日)

【池上鐘音】某省庁の無節操体質

▼教育専門出版社が6日にオンラインで開催したトークイベントを、にやにやしながら視聴した。若手教育学者が集まって別の出版社から著した本が経済産業省の「未来の教室」事業を題材として批判的に検証したところ、当の担当課長が反応。それを個人的なやり取りにとどめず、立場を超えた「対話」の手始めにと企画したという▼意外に思ったのは、担当課長が大正自由教育やデューイを持ち出したことだった。ほう、案外教育のことを勉強しているのか。さすがは一流官庁のキャリアだな…と関心していたら、看過できない指摘が続いた。新学習指導要領と「未来の教室」を大正自由教育から数えて「4度目の正直」だと位置付けたのはともかく、3度目に当たる「ゆとり教育」を「『昭和の慣性』で頓挫」したと説明したことだ▼「ゆとり教育」批判は某学習塾の「円周率が3になる」の誤報キャンペーンが火付け役となったが、当時の通産省が援護射撃を加えていたことは一般に知られていない。活字になったものは先輩記者・教育ジャーナリスト矢内忠氏の力作「平成の学校教育30年史(3)『ゆとり教育』見直し③学力低下論には経産省の影も」(『内外教育』2018年4月10日付)ぐらいか▼00年から外郭団体を使って、経済界に1998~99年改訂指導要領批判をアピール。その後も独立行政法人経済産業研究所に 『分数ができない大学生』(東洋経済新報社、99年)の主要編著者をフェローに招くなどして相も変わらず「ゆとり教育」批判を展開していた▼そんな過去さえ顧みることなく「新しい」施策をさも独自に編み出したようにアピールして展開するのは、経産省の真骨頂だ。その主張が全然新しくないことは、学者の検証を待つまでもなく冷静な教育関係者ならすぐ直感が働くだろう▼そうした手合いをまともな「対話」相手にお説を拝聴していても正直、建設的だとは思えない。そう痛感したイベントだった。要するに学校現場が使いやすい教材を開発してくれれば、それだけでいい。後は、威を借りてきた政権が完全に倒壊するのを待つばかりである。

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