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2021年4月

2021年4月30日 (金)

一斉休校で母親失業 安倍前首相の責任を問え

 内閣府の「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」が28日、報告書をまとめた。全国一斉臨時休校が要請された昨年3月以降、小学生を末子に持つ女性の就業率が低下し、非労働力化した割合が上昇するなど一定の「休校効果」があったという。末子が未就学児である女性に比べても、大きく減少した。

 これが「女性活躍」を旗印とした安倍政権の実態であった。改めて責任を追及しなければならない。

 一斉休校要請をめぐっては昨年10月、「新型コロナ対応民間臨時調査会」が調査・検証報告書で「エビデンスから考えると、今回のウイルスは、子どもは感染源にほとんどなっていない」「一斉休校は疫学的にはほとんど意味がなかった」という専門家の声を紹介しながら、「教育現場に混乱をもたらすことになった」と結論付けている。

 要請は、安倍晋三前首相の「政治判断」で行われたものだ。盟友である萩生田光一文部科学相が共働き家庭の児童生徒や給食、学童保育への配慮はもとより、仕事を休むことを余儀なくされる保護者に対する経済対策の必要性を訴えていたにもかかわらず、である。

 しかし「国民からは一定の評価を受けることになった」(報告書)ことからか、今に至るまで当の安倍前首相は責任を感じているようには思えない。民間臨調のインタビューにも「一斉休校もなかなか難しい判断だった」などと、反省するそぶりはなさそうだ。

 安倍前首相は、健康不安を理由に退陣したはずだ。しかし最近すっかり元気を取り戻したようで、保守系グループ「伝統と創造の会」顧問に就任したり、夕刊紙主催の憲法シンポジウムで「(枝野幸男・立憲民主党代表に対して)議論しろよ、という思いだ」とうそぶいたりしている。「難病」を抱える人にこんなことを言ってはいけないのかもしれなが、「桜を見る会」問題の追及や新型コロナウイルス感染症の拡大を止められない重圧に耐え切れずに、また政権を放り出したのではないかという疑念が拭えない。

 それはさておき、「政治は結果がすべて」が決めぜりふだった安倍前首相である。「政治判断」の結果責任を、きちんと総括してほしい。それとも、「今は首相の任にない」から答える必要はない、とでも言うのだろうか。

 今回の緊急事態宣言では子どもにも感染力が強い変異株の広がりが指摘しているにもかかわらず、一斉臨時休校は要請されていない。当然だ。それと比較すると、ますます昨年の「政治判断」が異様に思えてくる。もちろん、官房長官だった菅義偉・現首相も同罪である。

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2021年4月10日 (土)

【池上鐘音(いけがみじゃんのね)】無邪気な旧文部

▼本社は先ごろウェブメディア「オトナンサー」に「教師の魅力訴える『#教師のバトン』 『100連勤』など過酷実態投稿で炎上した背景」を配信し、Yahoo!ニュースにも転載された。炎上の「背景」として、書かなかったこともある。その一つが、「#教師のバトン」公式note最後の写真に象徴されていよう▼そこでは文部科学省総合教育政策局 の「#教師のバトン」 プロジェクトメンバー10人が、指でプロジェクトロゴのハッシュタグを形作って写っている。それが炎上しようとは想像すらしなかったように、いかにも無邪気だ▼こうしたノリは同局の前々身に当たる生涯学習局(1988年に社会教育局を改編)以来のカルチャーに思えるが、元は旧文部官僚の2大系統である「初中畑(ばた)」(初等中等教育局系)に由来しよう。そこに高等畑(高等教育局系)の現局長が加わっているのも興味深い▼「教師は魅力ある職業である」というテーゼには、教育関係者なら誰でも同意するところだろう。本社ですらそうだ。教育行政を所管する文科省は、言うまでもない。問題は「もともと」魅力ある職業であることと、果たして「現在」が魅力ある職業になっているかは全然別物であるということだ▼配信記事にも書いたように「現在」の問題を先送りしにして「もともと」の魅力だけを発信しようとしたところに、炎上の最大の要因がある。それを無邪気に発信してしまうところは、まさに旧文部のカルチャーが成せる業だ▼青木栄一東北大学大学院准教授によると、省庁再編後の文科省では再編前の高等教育局が所掌していた分野にも旧科技庁系が進出しているという(『文部科学省の解剖』東信堂、『文部科学省』中公新書)。その玉突きで旧文部系にも、初中畑・高等畑の区分けが曖昧になった印象がある。単なる人事にとどまらない。行政手法も似通ってきた▼それも教育委員会や学校に対して行ってきた初中畑のコントロールが、あたかも高等教育機関や関係者にも通用すると信じて疑わないような雰囲気が感じられてならない。それが裏目に出た典型が、高大接続改革だったろう。もちろん「大学入試改革」にとどまらない▼文科省が教育現場の実態をまったく知らないはずはない。昔も今も教委出向は続いているし、省庁再編後は学校現場を経験したキャリアもいる。しかし配信記事のコメントにもある通り、深夜勤務が常態化している中央官僚には現場教員の過労死ラインなど切実に映らないのも事実だろう▼ただし小子が日参していた90年代の文部官僚には現場に対する畏怖にも似た敬意と、それに報いる十分な条件整備ができない後ろめたさがあった。それが今や官邸一強や他省庁の攻勢に抗し切れず、自身が理想とする文教行政を前提とすることさえできなくなっているように写る▼残ったのは教育の理想に対する信念と、カルチャーとしての無邪気さだけ。学校現場を顧みる余裕すら、なくなっている。 それが本当の「背景」だったのではないか。

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2021年4月 1日 (木)

1人1台端末 「文房具」と言うのなら

 今日は新年度の始まりであるとともに、エイプリルフールである。いつも以上に馬鹿な主張も許されたい。

 今年度は、GIGAスクール構想の前倒しによる「1人1元年」となる。同構想をめぐっては、学校現場のみならず世間にも不安が広がっているようだ。

 急速な整備への戸惑いは仕方ないが、そもそも3クラスに1クラス程度の1人1台環境はもっと早く実現してもよかったはずだ。これからの時代を考えれば、情報端末を普段使いすることは避けられない。学校でも同様だ。大いに推進すべきである。

 ところで同構想を契機に文部科学省は、ICT(情報通信技術)を「文房具」だという言い方をするようになった。これは文科省の意図を超えて、示唆的な表現であるように思う。

 考えてもみてほしい。鉛筆や定規に「文房具指導員」が要るだろうか。近年では板書の仕方を指導する教職課程は少なくないが、現場の教師にチョークと黒板消しの指導や活用支援が必要だろうか。

 そもそもコンピューター自体が、ユーザー第一の発想で作られているのか。しかも日本ではインターフェースだのダウンロードだの、カタカナ語のオンパレードである。デジタル社会を進めるには高齢者にも使ってもらう必要があるが、そもそも使い方を教わらなければ使えないようなものを「文房具」とは呼べない。

 せめて子どもが使う端末は徹頭徹尾、安全性と操作性を担保してもらいたい。それは教員や指導員に委ねるのではなく本来、製造者責任だろう。使いにくいものを平然と売り込み、ブラックボックス化してきたのは他ならぬメーカーやサービス提供者ではなかったか。

 ところでGIGAスクール構想の実現や前倒しには、経済産業省の力もあった。同省は「未来の教室」事業を進め、民間事業者が開発した教材を学校に普及させることを目指している。結構なことだ。学校に役立つ教材開発は、いくらでもやってほしい。ただし、それで学校教育を変革しようなどというのは本末転倒だ。あくまでも学校教育が今以上にやりやすくなるため、やりたい教育を進めやすくするための教材開発であるべきである。

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉に代表されるように、ICTやデジタル化をめぐっては大言壮語がまん延している。ICTを使いこなす時代になっていること、そのためのリテラシーが必要なことは疑いがない。しかし、そのための負担をユーザー側に負わせる業界の体質と発想はいかがなものか。ましてや子どもや教員に負担を掛けて平然としていることに、疑問を持つべきだろう。

 本気でICTを文房具にしようとするなら、教員が誰にも教わらずセッティングにも苦労しないような機器であるべきである。そうでないのなら、機器の側に問題がある。もちろん学校教育の問題にとどまらない。ユニバーサルデザインを求めることこそが、社会変革ではないか……といい加減な大言壮語で締めくくるのも、4月馬鹿とお読み飛ばしいただきたい。
 

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【内側追抜】ジェンダーギャップ指数

あたくしが女性活躍を推進したというのに順位が一つしか上がってないって、どういうこと? 政府として厳に統計改革を迫らなきゃいけないよね。

   ――安倍晋三前首相

 

【編注】本日はエイプリルフールです。たぶん。

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