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2021年5月 3日 (月)

【池上鐘音】9条の古くて新しい意義

▼青木栄一・東北大准教授の近著『文部科学省』(中公新書)に、「ときどき文科省の政策が『兵站(へいたん)無視の作戦』と揶揄されるが、資源制約を考慮せず前線の努力に丸投げするところはたしかに共通している」とある。もっとも、これは他省庁にも大いに共通しているところだろう▼昨年新版が出て話題になった猪瀬直樹氏の『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)は、日米開戦前に官民えりすぐりのエリートたちを集めてシミュレーションした「総力戦研究所」を追ったルポルタージュだ。「日本必敗」という結論を出したにもかかわらず、そのエビデンス(客観的な証拠)は無視された▼ロングセラー『失敗の本質』(同)には、ノモンハン事件から沖縄戦まで日本軍の問題点が組織論の立場から詳細に分析されている。初刊行(ダイヤモンド社)は1984年だが、それから40年近くたっても日本の組織は変わっていないように思える▼ちょうどその年に大学生となった小子の世代は子どもの頃、まだ観光地で傷痍(しょうい)軍人の物乞い姿を見かけたものだ。遊び場の「秘密基地」が程なくして壊されたのは、今にして思えば防空壕だった▼きょうは施行から74年目を迎える憲法記念日である。各社の世論調査で改憲への賛成が増加したのは、多分にコロナ禍が影響していよう。一方で小池百合子知事の消灯要請が「まるで灯火管制だ」と話題になったように、やはり精神論に依存する体質は今も文科省だけの問題ではない▼改憲をめぐっては9条が焦点になるが、誰が提案したかは別として兵役を経験した者も銃後を守った者も「もう二度と戦争をしてはいけない」という総意が9条を支持したことは歴史的事実だろう。しかし若い世代は既に米国と戦争したことさえ知らない場合も少なくないから、昨今の北朝鮮や中国の情勢をみると軍事力強化の必要性を感じても無理はない▼しかし9条が現代国際情勢のリアルさに欠けるとしても、多少のフィクションを飲み込んだ方が抑制になっていいのではないか。 日本人の「本質」が変わっていないのであれば、また同じ過ちを繰り返すに違いない。

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