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2021年8月24日 (火)

教員免許更新制 「廃止」の後に「研修地獄」?

 予想通りとはいえ、最悪の報告書になるかもしれない。中央教育審議会の特別部会「教員免許更新制小委員会」が23日におおむね合意した、審議まとめ案のことである。

 ちなみに審議まとめ案に、「廃止」という言葉は1回しか出てこない。それも別紙2の「検証ヒアリングの中では…教員免許更新制の廃止を求める意見も表明された」というくだりだ。代わりに「発展的解消」が使われている。

 では、何に「発展」させようというのか。審議まとめ案には「新たな教師の学びの姿」とあり、これが今後の教育界のキーワードになるらしい。そもそも小委が3月の諮問「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について」を受けた「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会」の報告をまとめるために置かれた小委だから、ある意味で自然かもしれない。

 しかし、発展的に解消された「姿」自体がくせものである。「学び続ける教師」の学びは「散漫なもの」であってはならず、「体系的・計画的な学び」でなければならないという。そのためにデジタル技術も用いてプラットフォームを構築し、研修履歴はもとより振り返りも逐一書けるようにし、「何が身についたのか」まで可視化するらしい。任命権者や含む監督賢者、学校管理職には、それを把握するとともに教員育成指標に基づいて「受講の奨励」を義務付けるという。「必ずしも主体性を有しない教師」には職務命令が出され、従わない場合には懲戒処分さえちらつかせている。

 振り返りが書けるポートフォリオというと、大学入試改革の一環として構想された「ジャパンeポートフォリオ](JeP)を思い出す。本社はJePの挫折を残念に思うものだが、この研修履歴プラットフォームでは教員養成の時代から退職後の再任用まで終生監視されることにつながりかねず背筋が寒くなる。

 「個別最適な教師の学び」を求めているのも、気味が悪い。もちろん審議まとめ案では「協働的な職場づくり」にも言及しているし、成案では校内研修とからめて充実を求めることになるのだろう。しかし育成指標という「教師版学習指導要領」に基づいて研修という名の「授業」が必修化され、対話という「指導」を通して「評価」を受けるというのは、いつも子どもにしていることだけに否定しづらかろう。その弱みを逆手に取ったような提案である。

 これなら10年ごとに30時間という方が、まだましかもしれない。「新たな姿」では多忙な中で毎年毎年、常に研修課題に追われることになりかねないからだ。一応は「一人一人の教師が安心して学びに打ち込める環境の構築」が掲げられ、成案までには記述の充実も図られるようだが、会合でも意見があったように条件整備には裏付けが必要だ。本当に十分な予算が確保できるか、おぼつかない。そもそも勤務時間内に研修時間が担保されなければ、絵に描いた餅になる。

 だから、「廃止」のニュースに喜んではいけない。「発展的解消」の先に待っているのは、「研修漬け」あるいは「研修地獄」かもしれないのだ。

 最後に皮肉を付け加えておこう。これからは公立学校教員にも「残業代」を支払わなければならなくなるかもしれない。教職調整額は教師の仕事が専門職として自発性、創造性に待つところが大きいことから、厳格な勤務時間の管理はふさわしくないという哲学の下で制度設計されている。それが全ライフステージにわたって育成指標に基づいた研修が求められるとしたら、もはや教職は自発的・創造的な仕事とは言えなくなるではないか。むしろ教職の魅力づくりとして望まれるのは官製研修の強化ではなく、自発的・創造的な自主研修の追求と保障のように思われてならない。

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