【池上鐘音】誤解をまき散らしたのは
▼毎週木曜日に発行される週刊誌の短信欄に、珍妙な記事が載っていた。あまり大砲を打たない方の雑誌だ。いわく「まだ続いていた『ゆとり教育』 次は“総合的な探究”だって」。いかにも同誌らしい▼記事は一応「ゆとり教育は公式な呼び名ではなく」などという「文科省担当記者」の解説を基にしているのだが、最初から見出しありきだから教育関係者にとって噴飯ものでしかない▼おまけに反ゆとり教育で鳴らした精神科医が「かつて、ゆとり教育を強行した文部官僚の後輩がいまも文科省に残っているのです」などと訳知り顔でコメントしているのには、あきれるばかりだ。年次の若い後輩が役所に残っているのは、当たり前だろうに▼それでも世間一般の認識は、こうした類いと五十歩百歩なのだろう。文科省は「ゆとり教育」の誤りを認めて「脱ゆとり教育」に改めたはずなのに、何をやっているのかと。文部科学相時代そんなイメージをまき散らした張本人が、ようやく引退を表明した▼中山成彬氏といえば精神科医氏や「ゆとり教育を強行した」らしい先輩氏と同じラサール―東大出で、元大蔵官僚という超エリートである。しかし大臣の時もその後の国会質問などを聞いても、この人からは見識のかけらも感じられなかった▼当時お国入りなどでの大臣発言をまともに信じれば、総合的な学習の時間はとっくに廃止されていたはずである。どっこい総合学習や総合探究は、新学習指導要領でますます重要性を帯びている▼麻生内閣で国土交通相に就任した時は、成田空港などをめぐる舌禍ですぐ辞任を余儀なくされた。その際、全国学力・学習状況調査(全国学調)についても都道府県と日教組の「強さ」との関係を調べる調査だとぶち上げて世間に波紋を広げた。これまた珍説でしかないのだが、世間には真面目に受け止める向きもあって本社も迷惑した▼本欄でも当時この人の問題発言を論じ、引退も主張した。それから丸13年、よくも政治家を続けられたものだと逆に感心する。本来は去り行く人に罵声を浴びせるのはつつましくないが、この人に限っては二度と教育に関わる発言をしないでほしいと強く願う。
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