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2022年7月 5日 (火)

研修履歴システムのパブコメ 問われる自民の責任

 参院選たけなわの6月30日、文部科学省が「研修履歴を活用した対話に基づく 受講奨励に関するガイドライン(仮称)」案などのパブリックコメント(意見公募手続)を始めた(7月29日まで)。同省ホームページ(HP)では新着情報にも載せておらず、探さないと分からない。専門紙報道に接しない人は、見過ごしているのではないか。

 ガイドライン案は27日に開催された中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会」や同部会基本問題小委員会、初等中等教育分科会教員養成部会の合同会議に提示され、部会長一任を取り付けた。相変わらず用意周到だ、というより選挙のどさくさを狙った感が拭えない。

 もちろん内容は昨年11月の特別部会「審議まとめ」のみならず今年5月の改正教育公務員特例法(教特法)附帯決議の線に沿っているから、一定の歯止めは掛かっている。選挙中のパブコメも、政治日程や政治的思惑に関係なく淡々と行政手続きをこなしているという説明はつこう。

 しかし「研修履歴に課題のある教師」への職務命令研修のみならず、審議まとめにはなかった「指導に課題のある教師」に対する研修も組み込んでいることが注目される。

 これについては、思い浮かぶことがある。14日に自民党文部科学委員会が末松信介文部科学相に手渡した「教師の指導力の確保・向上のための提言」だ。失効・休眠状態になっている教員免許の保持者に厳格な選考と必要な研修を課すとともに、指導力不足教員には分限免職や再研修などの厳格な対応を促すなど教員の質の確保を強く求める内容となっている。

 そもそも「発展的解消」が発端となった教員免許更新制は「教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すもの」であり、「不適格教員の排除」を目的としたものではない。要するに制度設計上、更新制と質の担保はそもそも関係なかったのだ。それを「発展的解消」策である研修履歴システムで、更新制の「代わり」となる質担保策を求めるのは筋違いだ。

 なぜ文科省事務局が、そんな筋違いな案を特別部会の免許更新制小委の段階から示し続けてきたのか。審議会だけ見ていても分からないが、最初から背後に文教族の意向があったとすれば合点がいく。

 55年体制下の与党文教族といえば私学を支持母体とするのが定番で、私学助成とともに公立教職員定数改善には野党とともに一致協力したものだった。しかし特に小選挙区制になって以降、宗教団体をバックとする右翼的で文教政策に関する基礎知識もない「族議員」が跋扈(ばっこ)している。教職員に対する敬意も何もあったものではない。2018年に前川喜平・元文部科学事務次官を招いた名古屋市立中学校の授業内容を市教委に報告するよう文科省を通して要請させた一件は、そのことも象徴していよう。

 そういう手合いが牛耳る文教政策の将来は、いったいどうなるのか。いや、今までも散々振り回されてきたと言わざるを得ない。これから未来志向の教育を目指さなければいけない時にアナクロで勉強不足の議員が影響力を持つことは、一利もないとまでは言わないが百害はある。

 少なくとも現場教員には、よくよく人物を見て投票することをお勧めする。そうしないと、ますます自分たちの首を絞めることになってしまおう。もっとも参院選の結果いかんにかかわらずガイドラインは淡々と策定されるのだろうが、「パブコメの意見を反映して」改悪が行われる可能性にも注視しなければならない。

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