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2022年9月

2022年9月14日 (水)

【池上鐘音】「さかなのこ」の特異な多様性

▼『あまちゃん』以来、のん(本名・能年玲奈)さんのファンである。そのアキが「見つけてこわそう」で共演したさかなクンを演じると聞いては居ても立ってもいられない――と書いている段階で、すでにフィクションと現実が混乱している▼原作の『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』(講談社)を読めば、現実のエピソードをうまく生かした映画であることがよく分かる。もっとも冒頭の「男か女かは、どっちでもいい」が示すように、それ以上に多様なメッセージが込められていると受け止めた▼さかなクンのあだ名だった「ミー坊」は現実でもヤンキーと仲良くなれる性格だったようだが、さかなクンが演じる「ギョギョおじさん」は町から姿を消さなければならなかった。社会モデルという言葉が、頭をよぎった▼映画を見た翌日、文部科学省の「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方に関する有識者会議」をオンライン傍聴した。ヒアリングに応じた教委団体や意見募集からは、特性の把握方法や判定基準を示すよう求める意見が相次いだ。ただそれは、有識者会議が当初から議論していた基調と反する▼内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が6月に正式決定した教育・人材育成の政策パッケージには、小学校35人学級にも平均で特異な才能0.8人、発達障害2.7人、不登校0.4人・不登校傾向4.1人、日本語を家であまり話さない子1.0人と多様性があることが示されている。特異な才能をギフテッドと呼ぶか、学習困難を併せ持つ2E(twice-exceptional)とみるかも正直「どっちでもいい」。いずれにしても、同じ学級の仲間だ▼重複もあろうが「家にある本の冊数が少なく学力の低い傾向」、すなわち家庭の経済格差が学力格差につながっている子どもが10.4人という数値も無視できない。誰一人取り残さないためには、1学級に担任1人という教職員配置の基本は現実に合わなくなっている。働き方改革や新教員研修制度で解決できる話では、もちろんない▼「成績が優秀な子がいればそうでない子もいて、だからいいんじゃないですか」と自分の子どもを信じたお母さんはもとより「ミーぼうしんぶん」を楽しみにしていた先生方の存在には、ほっとさせられた。そうした周囲の大人の信頼や理解が、絶対に必要だ。実際にもさかなクンの同級生だったドランクドラゴン鈴木拓さん演じる鈴木先生は、あわやの学校間暴力に対してヘタレであったが。

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