【池上鐘音】対極の岡本太郎
▼入り口に足を踏み入れようとした瞬間、これは祝祭空間だと直感した。上野の東京都美術館で開催されている『展覧会 岡本太郎』である(28日まで)▼「光る彫刻」の下越しに見ても、黒い御簾の向こうに絵画や彫刻がランダムに置かれているのが分かる。順路などない。自由に鑑賞、いや感じればいい▼実は大阪展(7月23日~10月2日、大阪中之島美術館)も観ているのだが、印象はまったく違う。順路の決まった、いかにも普通の展覧会だった。もちろん作品の力は変わらないのだが、かの地では今も「進歩と調和」と闘わねばならないのだろうか▼それに比べればホームの東京では、ゆったりと爆発できるのだろう。こちらの方が、いかにも岡本太郎らしい▼小子にとっても恩人である。高校時代、絵画というものが理解できず地元の美術館で長時間うんうんと唸るばかりだった。それが大学時代に『今日の芸術』を読んで以来、堂々と「印象派は嫌いだ。あと、横山大観も」と公言できるようになった▼国内外は混迷の度を深くし、価値観も一方向に染められかねない恐れが迫っている気がしてならない。そんな中、今こそ岡本太郎の対極主義が見直されるべきだ▼NHK放送博物館(東京・愛宕)の「展覧会 タローマン」(4日まで)にも何とか行くことができた。1970~72年「当時」の貴重な品々が集められていて、楽しい。リアルタイムで番組を見ていたというミュージシャンの山口一郎氏(サカナクション)が集めたコレクションに負うところも大きいらしい▼しかし、はて。調べると、果たして山口氏は80年生まれらしい。何だそれは。
↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます
【自社広】
この本でCSTI政策パッケージと中教審特別部会のナゾがすべて分かる!
『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』
(ジダイ社、¥1870)、10・22より好評(?)発売中。
| 固定リンク
「コラム」カテゴリの記事
- 【池上鐘音】対極の岡本太郎(2022.12.02)
- 【池上鐘音】ヤマトの沖縄(2022.10.01)
- 【池上鐘音】「さかなのこ」の特異な多様性(2022.09.14)
- 【池上鐘音】蝶々の因縁(2022.07.09)
- 【雪ノ下鐘音】梅雨と鎌倉殿(2022.06.27)
コメント