次期指導要領 「学習内容の重点化」に今から知恵結集を
【「大改革」議論の初年に②】
中央教育審議会の初等中等教育分科会「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」(学校教育特別部会)義務教育の在り方ワーキンググループ(WG)の第5回会合が1日に開催され、論点整理素案を大筋で了承した。高校WGも含めた20日の特別部会合同で固める見通しである。
横断的な改革を守備範囲とする親特別部会はもとより、次期学習指導要領をめぐっては中教審と別に「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」も昨年末に発足している。そうした諸会議体の中でも、義務WGが司令塔役を果たすことが明らかになった感がある。
ここでは論点整理素案に「学校での学びの先にある社会を意識した授業改善、学習内容の重点化」として「ICTを最大限活用した授業実践、教科書・教材、授業時数等を含めた教育課程、教員研修の在り方を一体的に検討すること」が盛り込まれたことに注目したい。
そもそも学校教育特別部会は、内閣府「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI)教育・人材育成WG中間まとめの提起を受けて2022年1月に発足した。そのCSTI「政策パッケージ」(同年6月決定)では、「教科等の本質を踏まえた教育内容の重点化や教育課程編成の弾力化」が提案されている。今回の義務WG論点整理素案は、それに対する応答の第一歩だ。
政策パッケージ岸田文雄首相を議長とする政府重要会議での決定とはいえ、あくまで「内閣府」の話である。今般、中教審の部会内に掛けられた意義は強調してもし過ぎることはない。
時代の進展に応じて学校教育で扱う内容が増えすぎるカリキュラム・オーバーロード(過積載)は、世界的な課題となっている。ましてや現行指導要領では資質・能力(コンピテンシー)を重視する一方で、学習内容(コンテンツ)の削減は行わずに増やす結果となった。これも教師の多忙化に拍車を掛けていることは否定できまい。
前回は中途半端に終わったコンピテンシー・ベースの教育課程改革を、次期こそ完遂しなければならない――。本社が昨年10月『学習指導要領「次期改訂」をどうする―検証 教育課程改革―』(ジダイ社)を世に問うたのも、その思いからだった。
同書でも指摘した通り次期改訂に向けて今からコンテンツの再考とコンピテンシーの本格整理に、学校現場はもとより教育関係諸団体、教育関連学会を挙げて「熟議」を行うべきだ。あえて熟議という言葉を使ったのは、それぞれが改訂後も責任を持った主体となり続けるためである。そうしなければ今回も「上から降って来る」教育改革から脱却できず「やらされ感」が募るばかりか、コンピテンシー育成も不十分なものになりかねない。
CSTI政策パッケージでは、次期改訂見込みが2027年とされている。乗り越えるべき課題が山積する中、実質あと4年という期間は決して長くはない。各方面で早急に取り組みを始め、糾合への準備も進めるべきだ。教育界の英知を集めた改革としたい。
↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます
【自社広】
この本でCSTI政策パッケージと中教審特別部会のナゾがすべて分かる!
『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』
(ジダイ社、¥1870)、まさかの重版決定で好評発売中。

最近のコメント