教師確保特別部会 事務局は「静謐」な環境の保障を
中央教育審議会の初等中等教育分科会「質の高い教師の確保特別部会」が26日、初会合を開催して議論を始めた。2019年1月の中教審答申以来の既定路線ではあるが、昨年になって変な影がちらついている。元文部科学相の萩生田光一・自民党政調会長だ。
もちろん、今年の骨太方針に教育の記述を大幅に盛り込ませた剛腕ぶりは評価できる部分もあろう。萩生田政調会長は、自身の肝いりでまとめた党特命委員会の提言を実現するには5000億円の国費投入が必要だとの見通しも示している。大政調会長には「安定的な財源を確保」(骨太方針2023)する腹案もあるのだろう。
だからこそ、中教審の独立性は担保されるべきだ。文部科学省事務局は静謐(せいひつ)な審議環境を保障すべきで、いやしくも萩生田特命委におもねるような審議誘導を行ってはならない。
「予算は限られているので、バランスや優先順位を考えざるを得ない」――初会合で、秋田喜代美・学習院大学教授が指摘したことは重要だ。処遇改善より定数改善を優先すべきだという、本社の主張とも重なろう。
萩生田特命委の提言では、教職調整額を少なくとも10%以上に増額するとともに、新たな級の創設によるメリハリある給与体系、手当の改善などを求めている。調整額の支給割合引き上げ自体がそう容易ではなかろうし、16年度勤務実態調査に照らせば10%でさえ低すぎる。何より「メリハリ」は、非正規教職員を含め低く抑えられる層の志気を失わせかねない。
そもそも今、昇給を求める現場の声が強いだろうか。せめて現状に報いる給与は欲しいというのは本音だろうが、逆に給与は下がってもいいから自由にさせてくれというのが大勢ではないか。
人材確保法の給与優遇を期待して、教師になりたいという人も少なかろう。そもそもが教職に「魅力」を感じているからこそ志望するはずだ。だからこそ今さら魅力をアピールされたところで、ブラック化した現実とのギャップに悩むだけだろう。
中教審の役割は、まさに「総合的な方策」(永岡桂子文科相の諮問文)を検討することだ。それも勤務環境にとどまらず、学習指導要領の改訂や学校教育制度全体の改革論議とセットになったものでなくてはならない。
特別部会にも懸念を示しておこう。まずは働き方改革に関する緊急提言を出すことで合意したが、精神論をぶったところで現場の困難は何も解決しない。社会に訴えれば物事が解決するなら、とっくに改革は済んでいるはずである。期待されているのは、まさに実効性を見通した提言である。
↑ランキングに参加しています。奇特な方はクリックしていただけると、本社が喜びます
【自社広】
この本でCSTI政策パッケージと中教審特別部会のナゾがすべて分かる!
『学習指導要領「次期改訂」をどうする ―検証 教育課程改革―』
ジダイ社(2022年10月刊)、¥1870。

最近のコメント