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2023年8月17日 (木)

【池上鐘音】「あの頃」の空気

▼河野太郎デジタル相がマイナンバーを巡るトラブル続発の責任を取って閣僚給与3カ月分を自主返納すると発表したが、辞任は否定した。当日の東京新聞朝刊には、経済同友会の新浪剛史代表幹事が紙の保険証の廃止時期を「納期」と発言して波紋を広げているという記事が載っていた▼嫌な気分になったのは、それが終戦記念日の8月15日だったことだ。もっとも新浪発言は6月28日のことだが、一度戦略を決めたら情勢が変わっても決して修正しない軍部と、それに付き従う軍属のように思えた▼従軍慰安婦問題を巡っては政府の関与の有無がよく焦点になるが、そうした議論の組み立て方自体が実態に迫っていない気がする。平成の世になっても官民なれ合いが続いている事例を、日常的に見聞きしてきたからだ。というより自分の会社も、その一端を担っていた▼デジタルトランスフォーメーション(DX=デジタルによる変革)で先行していた医療分野を追いかけてきたのが、教育分野だ。1人1台端末が実現できたのも、教育データを一元化して民間にも開放するという構想を持った経済産業省の主張が通った側面が否めない▼しかし情報端末はあくまで授業の革新のために使われるべきものであって、データ蓄積は付随にすぎない。データ収集が目的化しては本末転倒なのに、中央教育審議会などの議論を聞いていると楽観的に過ぎる気もする。義務教育費国庫負担制度は戦後の教育の機会均等と質保証に大きな貢献をしてきたが、その源流が戦時下の国民学校にあった歴史的事実も忘れてはならない▼開戦前さまざまなシミュレーションで最大2年しか持たないことが分かっていたにもかかわらず、戦争はずるずると3年半以上も続いた。末期には「本土決戦」の覚悟を促すという精神論で特攻を強要するという非論理的で非科学的で非倫理的な戦術に拘泥し、フィクションでしかない「国体」護持にこだわるあまり敗戦の決断ができないまま原爆投下を迎えてしまった▼それらを昔の話と笑えるだろうか。戦争の記憶が遠くなればなるほど、あの頃の空気が明日にでも戻ってくるように思えてならない。いやマイナ保険証問題一つ取っても、空気は変わっていなかったのかもしれない。今も一部が旧庁舎として残る文部省の5階天井には、噂通り爆撃に備えた鉄板が入っていた。

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