【池上鐘音】5分間の既視感
▼26日午後10時からNHKで放送された『映像の世紀バタフライエフェクト』は「太平洋戦争 日米プロパガンダ戦」だった。その中で開戦1カ月後に内閣情報局が出した『大東亜戦争放送しるべ』に「我が海外放送は強力な思想戦の尖兵として活躍し、姿なき爆弾となる」とあったことを紹介していた▼それに先立つ同日午後5時50分、『午後LIVE ニュースーン午後5時台』を早く終わらせる形で『NHKからのお知らせ』として「8月19日放送のラジオ国際放送中国語ニュースについて」が放送された。わずか5分間の番組で「今回の事案は、『わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える』などと規定している国際番組基準に抵触するなど、NHKが放送法で定められた責務を適切に果たせなかったという、極めて深刻な事態であり、深くお詫び申し上げます」というコメントが3回も繰り返された▼確かにNHK国際番組基準の第1章「一般基準」の2には「内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解ならびにわが国の世論の動向を正しく伝える」とある。ちなみに国内番組基準の第2章「各種放送番組の基準」の第5項「報道番組」に、同様の規定はない▼仕事柄NHKの朝・昼・夜のニュースは、必ずチェックしている。かつては解説番組も注意深く耳を傾けていたが、内容が薄くなったと感じたのは第2次安倍政権になって以降だったろうか。それは今も続いている。記者にとって、今や自己規制が当たり前になっているのかもしれない▼先のコメントも、おそらく周到に書かれたのであろう。あくまで国際番組基準に抵触したのであって国内番組基準ではない、という書き手の良心さえ読めるのは気のせいだろうか。しかし5分間の番組から受けた印象は、まるで大本営発表を繰り返す戦時中の放送だった▼『映像の世紀』では太平洋戦争中、日米とも情報戦を展開していた姿が描かれていた。特に日本の総力戦では、マスメディアはもとより学校教育も特攻兵の神格化に動員されていた。過去の話だ、と笑えるだろうか。
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