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2024年8月17日 (土)

【蝦夷地鐘音】新しい戦前

▼今年の帰省中には驚くことが相次いで起こる。元旦は実家に着いて一息ついたところで能登半島地震、翌2日は前日に降りた新千歳空港滑走路で日航機と海上保安機の衝突事故だった▼今月14日の東京新聞電子版には、同紙140周年を記念した「ニュース深掘り講座」特別編の記事が載った。7日に日比谷図書文化館(東京)で行われたノンフィクション作家、保阪正康氏の講演詳報だ。北海道の同郷でもある▼演題は「『新しい戦前』にしないために」。7月の東京都知事選で現職の小池百合子氏に次いで票を集めた石丸伸二氏について「恥を知れ、恥を」といった口ぶりを「昭和10年代の帝国議会の軍人の答弁と思った」と述懐した▼その14日午前、岸田文雄首相が9月の自民党総裁選に出馬しないことを表明した。秘書官に話したのも当日朝だったというから、大騒ぎになっても無理はない▼翌15日は言うまでもなく終戦記念日で、岸田首相は全国戦没者追悼式に例年通り出席していた。不出馬表明のタイミングは別に理由があったようだが、そこに「戦後」軽視の姿勢を見て取った人は少なくない。そもそもハト派の代表である宏池会の出身にもかかわらず、安保関連3文書の改定や防衛費の大幅増額など安倍晋三政権でも成し得なかったことを次々と実現した▼保阪氏は15日付の北海道新聞連載「昭和の語り部 半藤一利の伝言㊥」で、二・二六事件の背景には貧困に何もしない政治に対する青年将校の不満があったことを指摘していた。「経済、経済、経済」と語った岸田首相の経済政策はどうだったか▼先の東京新聞講演もそうだが、保阪氏は道新には16日付掲載の配信記事「自衛隊、不祥事に見る劣化」で昭和前期の軍事主導体制の誤りに重ねていた。直接の関係がない出来事も、羅列すると「いつか来た道」の要素がそろいつつあると背筋が寒くなる▼同日付に載った連載記事の㊦ではジャーナリストの青木理氏が保阪氏も交えた15年の鼎談(ていだん)を振り返り、社会が戦争に向かっていく時の「六つの兆候」として半藤氏が①被害者意識と反発が国民にあおられる②言論が不自由になる③教育が国粋主義に変わる④監視体制が強化される⑤テロの実行が始まる⑥ナショナリズムが強調される―を挙げていたことを紹介している▼③の典型例は、「愛国心」を強調した教育基本法の改定だったという。愛国心を前面に出さなくても、ことさら「改正」教基法を持ち上げる総裁候補には気を付けなければならない。ましてや、熱狂で迎えることがあっては。

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