指導要領改訂論議 まだまだ遠い「分かりやす」さ
中央教育審議会の初等中等教育分科会教育課程部会に設置された教育課程企画特別部会(企特部会、主査=貞広斎子・千葉大学副学長)が17日、第2回会合を開催した。オンライン傍聴登録者は初会合の1000人超えに続いて1000人に迫る勢いで、関心の高さをうかがわせる。
ただ、どれだけの傍聴者が議論の内容を理解できたろう。もちろん前から関心を持って情報を集めてきた人が多いだろうし、「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」(座長=天笠茂・千葉大学名誉教授、いわゆる天笠検討会)を逐一フォローしてきた人なら逐一納得したに違いない。
しかし日ごろの指導や業務に追われる教師が初めて議論に接した場合は、まったく着いていけなかったのではないか。そのことに最大限の注意を払って、今後の公開・広報体制を検討してほしい。幾つか注文を挙げておく。
真っ先にやるべきことは、事前の傍聴登録を求めず誰でも見られるようにすることだ。中教審の大学分科会や文部科学省「教育データの利活用に関する有識者会議」でも恒例になっているのだから、すぐできるはずだ。
その上で映像をアーカイブに残しておき、開催後いつでも見られるようにする必要がある。規則改正や予算の問題があるかもしれないが、手始めに企特部会だけでも始めたい。
企特部会では「各回において事務局から現状と課題・論点等を分かりやすく整理した資料を提示する」(初会合の配布資料1-2)という。第2回会合では、表紙を入れて8枚ものの論点資料①「学習指導要領の一層の構造化」が示された。要点は最後のページにある「論点と考えられる方向性(案)」になろうが、お世辞にも分かりやすいとは言えない。
これが部会委員向けというなら、何ら文句を付ける必要はない。しかし審議過程から教育現場にも「共有」と「浸透」(天笠検討会の論点整理)を図り「共感と納得」(貞広主査、1月29日の教育課程部会で)の上で改訂しようとするなら、まだまだ努力不足と言わざるを得ない。
ちなみに「分かりやすい」ヒントは、石井英真委員(京都大学大学院教授)の発表にある。指導要領を表形式で構造化するという「石井試案」だ。次回これを基に案を出せば、ぐっとイメージがつかみやすくなる。
気になるのは、先の配布資料で「告示される学習指導要領は単一の形式とならざるを得ないが」と予防線を張っていることだ。法令に準じる文書だから仕方ないのかもしれないが、とかく行政は文書に縛られる。管理職も同類だ。前回改訂で審議時に多用されたポンチ絵(概念図)が解説にさえほとんど使われなかったのも、「理念や趣旨の浸透は道半ば」(諮問)となった一因ではないか。
中教審は、間もなく第12期の任期を終える。メンバーも一新されそうな第13期は、さまざまなことを改める機会である。
ところで、もう一つの諮問である「質の高い教職員集団の形成」を審議する1月24日の教員養成部会は、開催案内が新着情報に載らなかった。他意のないミスだったようだが、論外である。そもそも国民への情報公開の意識がいまだに薄いと言ったら、厳しすぎようか。
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