【池上鐘音】全国バラマキ合戦
▼東京都大田区が、コロナ禍で区立中学校の修学旅行に行けなかった今年度20歳となる区民に1人1万円分の旅行券か金券を配る方針を決めた。鈴木晶雅区長が28日の定例記者会見で発表したもので、6月18日開会の区議会に5000万円前後の補正予算案を提出するという▼外に出ると、6月13日に告示される東京都議会選のポスター掲示場が設置され始めている。日程を確認するまでもなく、選挙を目前にしたバラマキの臭いがぷんぷんする▼言うまでもなく修学旅行は、特別活動の「旅行・集団宿泊的行事」として行われる教育活動である。「コロナ禍を乗り越えて得た経験を将来につなげるとともに、新たな絆をつくる機会を創出するため」という理由は、教育と何の関係もない。「子育てNo.1都市の実現に向けた独自の取組」の一環だという説明も、むなしく響く▼かつての都議選で鈴木区長とともに掲示板に並んでいた鈴木章浩議員は過日、自民党東京都連の裏金問題で幹事長経験者として頭を下げていた。2014年、都議会で当時の塩村文夏議員に「早く結婚」のヤジを飛ばして謝罪した御仁だ。区内には裏金問題が発覚する前から、高市早苗衆院議員との2連ポスターがあふれている▼修学旅行の中止は、当時の安倍晋三首相が要請した全国一斉休校によるものだ。政府専門家会議の構成員はもちろん、萩生田光一文部科学相の慎重姿勢を押し切った政治判断だった。萩生田氏は昨年10月の総選挙で安倍派の裏金問題を理由に党公認を得られなかったが、当選後は徐々に復権しつつある▼掲示場に灰色のシートが貼られた掲示板が2枚あるのは、夏の参院選用だろうか。25年度の政府予算では、自民・公明と日本維新の会の3党で合意した高校授業料無償化の所得制限撤廃が盛り込まれた。単年度限りの臨時措置であり、超富裕層の扱いや志願者減が見込まれる公立高校への支援策などは今後検討するという。やはり「教育」は後回しだ▼国も地方も票目当てのバラマキ合戦に、有権者はよくよく注意した方がいい。納税者である本社としても、無視することはできない。
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