教員養成部会 これで論点「整理」に入るつもりか
中央教育審議会の教員養成部会は7日に諮問後8回目の会合を開催し、次回から論点整理の議論に入るという。
本気なのだろうか。これで「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」(諮問文)ができるとは、とても思えない。
養成部会は、月1回のペースで会合を開いている。7日は審議事項の3本柱のうち、やっと最後の「多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度の在り方について」で「基本的な考え方」の案文が示されたばかりだ。これで一応は、一通りの議論をしたことになる。
しかし諮問の両輪を担う学習指導要領の改訂について教育課程企画特別部会(企特部会)が周到な事務局資料を基に精緻な議論を行い、7月28日の第11回会合で当初予定の検討事項をこなしたのに比べれば雲泥の差だ。それでも企特部会は論点整理素案の「落としどころがまとまらず」(委員の1人)、29日に予定されていた第12回会合が9月5日に延期された。
養成部会は前2本の柱についても、ちょこちょこ文案に修正を加えてきた。それも意見が出れば追加・修正するといった程度で、議論はさっぱり深まらない。
本社がかねて問題視してきた免許種別の在り方も、そうだ。2種相当を標準とする案は引っ込めたものの「現在の教員免許制度の中で、短⼤・学部段階の教師養成について担保している質を落とさないことを前提として、教員免許取得に⾄る学びを再構築の上、改めて標準的な教員免許状として位置づけ」るという、何を言っているかさっぱり分からない文面も変わらない。
7日には企特部会の審議状況も報告されたが、「養成の質が高まらなければ成り立たない」(真島聖子・愛知教育大学学長補佐)のは当然だ。それに見合う養成課程の検討は、明らかに不足している。
採用に関しても「今後の全国的な教員採⽤の需要や採⽤倍率はどのように変化していくと考えられるか」という重要な提起を掲げていながら、大した論議もなしに「基本的な考え方(案)」では「今後、全体として⾒れば、中⻑期的に採⽤者数が減少していく⽅向に⼊ると⾒込まれるものの、志願者数を⼀定に保ったり、これまで以上に増やしていくことが容易な状況ではなく、採⽤倍率が⾃然に回復するわけではないと考えられる」で片付けている。しかも「引き続き、教職志願者を獲得するための取組を継続することが重要であると考えらえる」というのだら、何も言っていないに等しい。
3番目の柱についても「⼤学における教員養成の原則との関係で、教員資格認定試験を拡⼤展開していくことについて、どのように考えるべきか」という本質的な問いを立てながら、「基本的な考え方(案)」では「教員資格認定試験については、制度の趣旨に⽴ち返り、教師集団の多様性をさらに⾼めるために、専⾨性を有する質の⾼い教師を確保する⼿段として捉えていくべきではないか」で済ましている。検証されるべきは「⼤学における教員養成の原則」の方なのに、明らかなはぐらかしだ。「課題解決のための戦略的意図を持って、改めて制度の根本に立ち返った検討」(諮問)が行われた形跡は、ない。
これでは大学における養成をはじめとした戦後養成制度が、単に溶解するだけではないか。しかも教職志望数の確保や質の向上につながる戦略が示されるとは、とても期待できない。
文部科学省事務局の腹積もりとしては、一刻も早くワーキンググループ(WG )で制度設計を詰めたいのだろう。課題を先送りされるWGが、発足前から気の毒だ。もっとも一番の被害者は、目前の困難に何らの解消策も示されない教育現場なのだが。
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