次期指導要領の「論点」 研究・研修は国の責任で保障を
次期学習指導要領を巡る中央教育審議会の教育課程企画特別部会(企特部会)「論点整理」素案は、義務教育段階での柔軟な教育課程編成を目指して「調整授業時数制度」の創設を打ち出した。
教育課程の柔軟化自体に、異を唱えるものではない。最も気になるのは、生み出した調整時数を「授業や指導の改善に直結する組織的な研究・研修等に充てることも可能とする方向で、その上限と類型についても具体的に検討すべき」だとしている点だ。
「中核的な概念」を基に構造化された指導要領で資質・能力を育むには、今以上にカリキュラム・マネジメント(カリマネ)と校内研究・研修が欠かせない。次期指導要領の成否を左右する、と言ってもいいだろう。
そうであるならば、教育課程編成上の全国的基準である指導要領の規定で一定時数を保障すべきではないか。「可能とする」では、弱い。
そもそも教員の多忙化で今、個々人が授業研究・教材研究にかける余裕がなくなっている。その上に全校的視野からカリマネを考え、授業を改善することを「個業」に任せるのは無理がある。結果的に、同僚性の発揮どころか「孤業」化すら招いている。若手教員の早期退職も、そうした側面が否めない。
論点整理が示すような次期指導要領の方向性を実現するには、ますます教職の自主性・創造性を発揮することが求められる。「基本的な考え方」の中でも当事者意識(オーナーシップ)の必要性が指摘されているが、現行指導要領下でも「上から降ってくる」改革への「やらされ感」が強まってしまっている。それが、ますます「多忙感」に拍車をかけているのが実態ではないか。
そんな状況に歯止めをかける第一歩が、研究・研修時間の保障だ。改訂論議を貫く三つの方向性の第3に「実現可能性の確保」を掲げるなら、なおさらだろう。教員養成部会で検討しているように、「高度専門職」を担保する一策にもなる。
もっと言えば、調整授業時数で「教科標準時数を下回ることが可能な範囲」とか「裁量的な時間の上限と類型」を具体的に検討するよう求めている点も気になる。思い切って現場の裁量に任せるぐらいでないと、またぞろ「上」の顔色をうかがわないと授業改善ができない「やらされ改革」になってしまう。
もちろん、過去あったように「いいかげん」な教育実践が横行しては困る。しかし今は地方教育行政にも学校にも説明責任が求められているし、全国学力・学習状況調査(全国学調)を導入したのも国が学力向上に直接関与するためではなかったか。現場の意欲をかき立てるどころか、減退させるような指導要領であってはならない。その点は、現行指導要領でも薄かったところだ。
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