【資料】企特部会での奈須正裕・教育課程部会長発言
よろしくお願いいたします。まず積極的で挑戦的なご議論をいただいているということを、とてもありがたいなあと思っています。領域編成の問い直しも起こっていて、理科や家庭科なんかで進んでいるようです。前回の算数・数学のような取り組み、ありがたいなと思っています。
まず今回の作業ですけど、そもそも教育内容は階層構造を成しているという理解が大事かと思います。教育内容というのは単なる同レベルの内容事項の列挙ではなくて、現行指導要領でも目標、内容、内容の取り扱いということになっていますし、さらにそれが学校に降りると単元、教材ということになっているわけですね。今回、内容の一つ上の桁っていうんでしょうかね、それとして見方・考え方、高次の資質・能力を設置したらどうか、という作業かと思います。さまざまな国や地域で既にやられていて、ビッグ・アイデアとか、かつてのブルーナーの構造のような改革で、新しいものではありません。ただ諸外国のを見ると記述や水準もさまざまで、どの程度の階層でこれを記述・整理するのがよいのかに正解はないようです。海外の取り組みに学びつつ、各学校の教育課程編成、教科書も含めた実践創造に有用性の高いものをプラグマティックに選択するということでいいのではないかなあ、と個人的には考えております。また教科等によって、あるいは親学問の性格によって、これが変わってくるということは一定程度あるんだろうと思います。
その上で、まずシーケンスというか段階ですけど、今回、小中高で一つにまとめていただいてる教科等と、各学年・2学年のまとめていただいている教科等があります。内容はほぼ同じで発達段階等を意識した水準や深さの書き分けということだと思いますけれども、やはりできるだけ大きな桁で書いてはどうかと思うんですね。難しいように思うかもしれませんが、例えば「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」って見ようによってはめちゃくちゃ高度なんですよね。でも5歳児でも見ていくとあの方向性、あの質というものが表れているという話なわけだと思うんですよね。そう考えれば、もう少し学年段階をまとめるということも可能かなあと思います。
それから領域の方もだいぶさまざまで、教科の中の主要な領域ごとにまとめてくださっている教科と、もっと小さな内容のまとまりを基盤にまとめてくださっている教科等があって、どうしても内容に近い方に落としていくと記述が細かく大きくなってきますし、内容事項との差が少なくなってくるので、わざわざ設置する意味が少し少なくなるかなあと思うんですね。丁寧に正確に記述したいということはとても分かるんですけど、ポイントが見えにくくなるということではあまり意味がないかなあと思います。
次に、学習活動を記述に含めている場合があって、これも教科等によっては必然性があるんだと思いますけど、これをするという活動をこの水準に書いてしまうと、割と下の桁の話ですから、どうかなあと、ちょっと気にはなりました。
また思考・判断・表現の総合的な発揮というところの記述、どうしても似たような記述が並んでしまうということがあります。現行でも思考・判断・表現のところは学習対象だけが変わって全部表現が似てるって話があるんですけど、あれ、とてももったいないので何とかならないかなあと。一段水準を上げれば、まとめた記述にできる可能性はあるんだと思いますので、またお考えいただければと思います。
それから作業の進め方・発想ですけど、まず今の学習指導要領、現行の内容を整理・統合して、そこに統合的なものを見つけていくというボトムアップの方向性は当然あってしかるべきだと思います。ただ一方で、そもそもこの教科等の本質は何だ、見方・考え方というのもそういうお話でしたし、私は教科の任務という言い方をしてますけど、この教科はどういうふうに子どもの資質・能力、子どもの有能さを高め、一生涯を支えていくようなことが独自に可能なのかということを、もう一度問い直していただく中でのトップダウンのようなことも併せて考えていただく、特にその高次の資質・能力はどちらかというと上の方の桁ですから、この教科の本質、領域の本質は何かという議論から見直していく。またそうすることによって内容の精選ということも場合によっては可能となってくるということがあるのかなあと思います。
その際、今回割と進んでいますけど、教科で親学問がはっきりとある場合も無い場合もありますけど、ただ単に教科は親学問そのものではありませんけれども、その親学問の在り方を改めて参照しながら考えるということも、この見方・考え方や高次の資質・能力、統合という議論の中では大事かなと思っています。以上です。
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