次期指導要領「専門部会等」(3) 道徳科の根本的見直しを
中央教育審議会の教育課程部会「道徳ワーキンググループ(WG)」が25日、初会合を開催した。18ある「各教科等の専門部会等」では、最後の発足となった。最初の外国語WGから2カ月、17番目の幼児教育WGからも1カ月遅れたのはなぜか。文部科学省事務局からの説明は、果たして一切なかった。その間、3回目に入ったWGも少なくない。
10年前の「考える道徳への転換に向けたWG」が7カ月も遅れたことを考えれば、むしろ早いと言えるかもしれない。ただ前回は小・中学校の指導要領一部改訂で「特別の教科 道徳(道徳科)」が設置されたばかりで全面実施もされていない、という特殊事情があった。
委員は11人で「特異な才能」WGの10人より多いものの、「不登校」WGと同数。「考える道徳」が16人だったのと比べても、明らかに少ない。前回は14回の会合を重ねたWGがあった一方、たった4回の会合で報告をまとめた。
事務局資料では、道徳教育の課題を▽読み物教材の登場人物の心情理解に偏った授業になりがちで、多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深めるために考え、議論することが十分にできていない▽教科書の発問例に頼った授業など、型にはまった予定調和的な授業になりがちなど、「考え、議論する道徳」への質的転換が道半ばであるとの指摘がある――としている。委員からも、教師が求める正解を子どもが察知して本音を言わないといった実態が挙げられた。
改革の方向性としては「考え、議論する道徳」への転換から「実装」のフェーズに移行することが提案された。しかし、教科化の眼目だった「考え、議論する道徳」ができていなかったのだとしたら致命的ではないか。
これに先立つ17日の特別活動WGでは、八並光俊・東京理科大学名誉教授(日本生徒指導学会会長)が道徳に関して「いじめ防止で教科化したが、総括的な評価もないことに違和感を持っている」と述べていた。けだし正論だ。しかし一部改訂してまでも教科化を急いだ政治的思惑に、正論は通らない。
教科化には授業時間の確保だけでなく、教科書を使わせるという意図もあった。しかし似たり寄ったりの教材になったばかりでなく、検定を経てパン屋が和菓子屋に替えられるという滑稽な事態も起こっている。
内容を構造化して軽重を付けるのが、今次改訂の大方針だ。内容項目を網羅的に並べては、筋が通らない。初会合では論点が示されただけだが、「複数の内容項目を関連付けた学び」だけでは話にならない。次回は1カ月後の予定だというが、どんな案が出ることだろう。
社会との関連付けを強化するのも、既定路線となっている。道徳教育を「真正の学び」にするためにも、旧態依然の読み物教材では改善は見込めまい。国内外で「対立や葛藤」(事務局資料)が激しくなっている中、むしろ現実に即したリアルな学びこそ求められる。
事務局は道徳・特活・総合の関係性を整理することも提案しているが、いっそ調整授業時数制度を使って道徳科の時間を他領域に溶け込ませた方が効果的ではないか。やはり小中でも教育活動全体で行うよう戻すべきだ……と言ったところでむなしいが、根本的な見直しが不可欠であることは間違いない。
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